研究課題/領域番号 |
22K14027
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分14030:プラズマ応用科学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
古川 武留 神戸大学, 工学研究科, 助教 (70845122)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 無電極高周波プラズマスラスタ / 回転磁場加速法 / 磁気ノズル / 微粒子プラズマ / レーザー誘起蛍光法 / 発光分光分析法 / プローブ計測 / 電気推進機 / 高周波プラズマ生成 |
研究開始時の研究の概要 |
微粒子プラズマはあらゆるプラズマ応用デバイスで発生し,宇宙航行用電気推進機もその例外ではない.帯電微粒子の時空間変動磁場下での磁化/非磁化のバランス,プラズマとの非線形な相互作用を伴う物理現象に着目し,時空間変動磁場を有する電磁加速型無電極スラスタにおける微粒子プラズマの物理的挙動を実験研究により明らかにする.そして,微粒子プラズマの安定した制御則を導出することで,帯電微粒子が提案電磁加速型無電極プラズマ推進の性能に与える影響を鑑みた,推進性能を予測可能な物理モデルを導出することを目的とする.
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研究実績の概要 |
無電極高周波型スラスタの一つである回転磁場(Rotating Magnetic Field: RMF)を用いた無電極追加加速法の性能向上に向けた運転条件の最適化と,実利用における微粒子プラズマの挙動を鑑みたRMF法によるプラズマ加速効果を評価することを本研究課題の目的とする. 本年度は,まず内直径30 mmを有する段付き放電管を使用したRMFスラスタ模擬装置の設計・制作に取り組んだ.当該模擬装置における電磁石コイルを使用した磁気回路による発散磁場条件と,高周波電源によるプラズマ生成条件を確認した.またRMF駆動用電源系統の配線等のセッティングを行い,放電中のRMF磁場印加も確認した.現在当該小型RMF装置おけるRMF駆動時におけるプラズマ加速効果を,計測実験により評価中である.特に先行研究から,RMF回転周波数やRMF磁場強度はRMF加速効果と磁場浸透効果にとって重要であることがわかっており,当該小型装置における検証を推進している. 中部大学桑原准教授所有の内直径100~170 mmのテーパ形状を有する比較的大口径のRMF駆動試験装置にて,RMF加速効果の計測実験による評価を進めた.イオンマッハ数の2次元分布計測やダブルプローブ法による電子密度計測に加えて,レーザー誘起蛍光法によりRMF駆動時軸方向におけるイオン流の2次元速度ベクトルを取得し,RM駆動によるスラスタ排気方向速度増加を確認した.RMFによるイオン加速効果に加えて,高いプラズマ密度の増加も,プローブ探針法により得た.これら計測結果から,プラズマ圧力増大に伴う圧力勾配の増大が見られ,これによる高い軸方向加速効果を検証した. これらから,RMF加速法の実現に向けたスラスタサイズのスケーリング測導出に向けた知見を得つつあるが,今後更なるRMF駆動条件変化の依存性検証が期待される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度では,RMF追加速効果を検証可能な小口径RMFスラスタ模擬実験装置・計測機器の設計開発を目標の一つとしており,これに関してはすでに完了している.現在はこの装置において,プラズマ加速効果の最適条件導出に向けた計測実験を行っている段階にある. 中部大学桑原准教授所有の大型直線型装置に設置されたRMF加速システムを用いて,RMF印加時におけるレーザー誘起蛍光法によるイオン流速の定量評価を行い,RMF加速法におけるイオン加速効果,およびイオン流速の径・軸方向の2次元空間ベクトルを算出し,定量評価ができた点は,成果として大きいと考える.RMFアンテナ直下のプラズマ断面における3軸方向(径方向・軸方向・周方向)のイオン流計測を行ったところ,径・軸方向の速度成分は見られたが,顕著な周方向速度成分は見られず,RMFアンテナ直下においてはイオンの周方向ドリフト成分がほとんど存在していないことを明らかにしたことも,今後のRMF加速のプラズマの数値流体解析モデル構築において重要な知見と考える. 一方で,当初の計画の一つに,微粒子プラズマを生成可能な電磁加速型RMFスラスタ模擬テスト装置の設計製作とガス供給系・真空系・電源系・計測系の動作確認があった.また供給する微粒子量と高周波プラズマ放電のタイミングなどの検証を進めている予定であったが,本年度でこれらに至ることができなかった.微粒子プラズマテスト放電装置用の真空容器は確保できたものの,外部磁場用電磁石コイル設置などは未完である. 上述から総合的に判断して,今回は上記区分に相当すると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
今年度作製した小型装置における計測実験を継続し,RMF加速法の性能を予測可能な加速効果のスケーリングモデル構築を進めていく.特に小型スラスタにおいて最適なRMF回転周波数条件,RMF磁場強度,高周波プラズマ生成パルス放電に対するRMF駆動タイミング(プラズマおよび中性粒子流のスラスタ排気方向の軸方向遷移,外部発散磁場条件など)を考慮した最適条件の導出を進めていく. 微粒子プラズマ源試験用の真空チェンバーのセッティングを現在進めており,今後この装置を組み立て完了次第,微粒子プラズマの高周波放電とRMF駆動による放電特性の検証を進めていく. コンデンサバンク型大電流電源回路を用いた加速アンテナによる変動磁場印加タイミングを決定したのち,プローブ計測と分光計測によるプラズマ流計測,高速度カメラ(1台を借用予定)による微粒子挙動の画像計測(画像相関法など)を行い,時空間変化する外部磁場における帯電微粒子流の磁化/非磁化の評価やプラズマ流の詳細な時空間分布,さらにその物理的相互作用の関係を明らかにする.
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