研究課題/領域番号 |
22K14029
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
殷 文 東北大学, 理学研究科, 助教 (20908719)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 粒子崩壊 / 加速器 / 暗黒物質 / 粒子生成 / インフレーション / 赤外線分光器 / 直接探索実験 / ダークセクター / ヒッグス / アクシオン / マルチメッセンジャー |
研究開始時の研究の概要 |
新物理法則の証拠は明らかに存在しているが、その代表である新粒子の正体は謎に包まれている。本研究では新物理法則のエネルギースケールが電弱スケール(中性子質量の100倍くらい)より小さい可能性に着目する。新法則に伴う粒子は暗黒物質のように目に見えずさわれないものであったとしても、既知の素粒子の崩壊で自然かつ効率的に生成され、光に近い速度を持ちあらゆる障害物を通り抜け、検出器まで到達しうる。新粒子が他目的で計画、建設された実験でどのように計測されるかを研究することで、素粒子の伝搬、崩壊、検出などの理論的理解を深めるとともに、新物理の実験的可能性を広げ、既存の実験計画に新たな意義を与える。
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研究実績の概要 |
光子への崩壊が引き起こす宇宙赤外線背景の非等方性から、10eV-20eVのアクシオン暗黒物質に対して現時点で最も強い制約が得られた(2205.01079)。 矮小楕円体銀河における暗黒物質崩壊光子を最先端の赤外線分光器で探る方法を提案した(2208.05975)。最先端の赤外線分光器はすでに、マゼラン望遠鏡、すばる望遠鏡、James Webbs Space Telescopeに搭載されている。他目的で搭載されたこれら赤外線分光器を使って、矮小楕円体銀河の中心部を分光することで、わずか数時間程度で、対応質量においての暗黒物質に対して世界トップレベルの強い制限あるいは発見に至ることがあることを指摘した。 また、将来の加速器実験でヒッグス粒子から暗黒物質への崩壊を探る詳細研究を行った(2204.01739, 2204.04770, 2209.07565)。特に、ダークヒッグスが存在するような模型において、ILCでの暗黒物質サーチは従来より数桁感度が良いことがわかった。粒子崩壊による暗黒物質生成が、従来と異なりeV領域の暗黒物質に対しても可能であることが分かった(2301.08735, 2301.10757)。特に、50年ほど前のパラダイムである、熱い暗黒物質は電子ボルトくらいの質量を持つとされている。しかし、必ず熱く生成されると考えられており、暗黒物質の知られている性質を満たさなため、他の候補が考えられるようになった。2301.08735ではこのような熱いと思われたeV付近の質量を持つ暗黒物質は実は冷たく生成され、特別な存在であることがわかった。一方で、赤外線背景放射の観測から、このような暗黒物質が示唆されている。
また、本研究課題に関連する研究として、他の12本の論文を発表している(雑誌掲載、アーカイブ掲載含む)。国際・国内会議で関連、研究成果を12回発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナの影響で海外出張などができずにいたため、当初予定されていた国外のエキスパートとのコミュニケーションが必要な方向の研究が遅れているが、それ以外の予定していた方向では予定以上に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2208.05975に基づく観測を今後行っていきたい。今後、加速器実験における暗黒物質探索の議論を続けていきたい。また、崩壊による暗黒物質生成の関連研究を行っていきたい。
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