研究課題/領域番号 |
22K14037
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
武田 紘樹 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD) (00912809)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 重力波 / 宇宙物理学 / 重力 / 一般相対性理論 / 修正重力理論 / 重力理論検証 / 偏極モード / コンパクト連星合体 / 拡張重力理論 / 重力理論 / 伝播過程検証 |
研究開始時の研究の概要 |
コンパクト連星合体からの重力波の偏極モード探査は、一般相対性理論を超える重力理論の確立に不可欠な極限領域での重力理論の検証を可能にする。本研究は、伝播過程における偏極モード探査によって重力理論を宇宙論的距離スケールで検証する。伝播過程に最適化した波形モデルを用いて重力波信号を解析することで、基本的な伝播から未知の重力現象まで広範な伝播現象に初めて観測的制限を与え、 重力波の生成から観測まで網羅した複合的な重力場検証という新たな研究領域を開拓する。
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研究実績の概要 |
本年度はまず、太陽系内の実験の影響を考慮に入れつつ、コンパクト連星の合体から発生する重力波のスカラーモードの検出可能性について議論した。まず、イ ンスパイラル重力波の観測された位相進化から、生成時のスカラーモードによって運ばれるエネルギーはテンソルモードのそれと同程度であると主張した。次に、重力波の一般的な伝播を定式化し、伝播中のエネルギー流束は背景が伝播する波の波長に比べてゆっくり変化する限り、ほとんど変わらないことを指摘した。最終的に、地上の重力波望遠鏡によって検出されるスカラー偏極モードの可能な振幅は、すでに太陽系内の重力実験によって厳しく制約されていることを示した。本年度はさらに、スカラー場が曲率と結合する非最小結合理論に焦点を当て、GW200115のデータを使用して、 中性子星のスカラー電荷および非最小結合強度に対する観測制限を与えた。スカラーモードを考慮に入れることで、スカラー電荷はテンソル重力波だけの分析に比べてさらに厳しく制約されることを示した。また、ブランス・ディッケ重力や自発的スカラー化シナリオを含む非最小結合理論で、各理論のモデルパラメータに新たな制限を設けた。そして本年度はさらに、重力レンズ効果を受けた重力波の波形に対する伝播の修正の影響を、幾何光学の近似の下で調べた。一様な宇宙論的修正とレンズ天体周辺の局所的修正に焦点を当て、モデル非依存の現象論的アプローチを採用し、強いレンズ効果のシナリオでのこれらの修正の影響を系統的に調査した。局所的修正は像の位置や増幅率に大きな変化を与え、場合によっては像の消失や信号の増幅を引き起こす可能性があることを指摘した。修正された伝播の特徴や追加の偏極モードの存在を探るために波形の修正を考慮することの重要性を強調し、観測対象の提案も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
太陽系実験の観測結果をもとにしたスカラーモードの観測可能性について議論することができた。さらに、重力波の伝播過程において生じる現象である重力レンズ効果に対して、伝播補正が波形に及ぼす効果を系統的に調査し、特徴的な観測的効果を予言することができた。以上のような実績を踏まえ、当初の計画以上に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、スカラーモードの検出可能性、偏極モードがスカラーテンソル重力に対する制限に与える効果、混合偏極モード波形モデルの一般化とデータ解析への応用、伝播補正の重力波の強い重力レンズ効果への影響を調べることができた。2024年度は、有効場の理論としての一般相対性理論を重力波の生成・伝播からどの程度制限できるかについて調べる。また、重力レンズにおいて波動効果が効く領域へ定式化を発展させる。
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