研究課題/領域番号 |
22K14041
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 国際教養大学 |
研究代表者 |
橘 保貴 国際教養大学, 国際教養学部, 助教 (60877760)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ジェット / クォーク・グルーオン・プラズマ / 高エネルギー原子核衝突 / 高エネルギー重イオン衝突 / クォークジェット / 相対論的流体力学 / 量子色力学 / QGP / 素粒子物性 |
研究開始時の研究の概要 |
色荷をもつ素粒子クォークやグルーオンの熱平衡化は,量子色力学(QCD)の強い相互作用を反映する現象であるとともに,超高温物質「クォーク・グルーオン・プラズマ (QGP)」の極めて早い形成にも関わる興味深い現象である.本研究では特に高エネルギー重イオン衝突での高運動量クォーク・グルーオンの束であるジェット生成事象に注目し,そこでジェット粒子がQGP媒質中で熱平衡化していく過程の時空発展を現象論的に記述する模型を構築する.模型を用いた理論計算と実験結果を比較することにより,高温 QGP 媒質中のQCD熱平衡化過程についての知見を得る.
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研究実績の概要 |
前年度は主に現在すでに実験データが得られている,高エネルギー重イオン衝突における,QGP媒質による inclusive jetのハードな成分を特徴づける内部構造測定量について,マルチステージモデルを用いた数値シミュレーションと実験結果との比較を行いながら詳しく調べた.当該年度はより系統的な単純化した設定の元での詳しい精査と,まだ実験結果がそれほど得られていないgamma-jet ペア生成事象におけるジェットについての理論予言を行った. 一般に,クォークジェットはグルーオンジェットに比べ,媒質との相互作用が小さいため,媒質効果による内部構造変化が小さいと考えられていた.しかし,ジェットの内部構造のうちハードな成分により強く依存する成分を抽出するSoftDrop という手法を用いて得られる測定量では,クォークジェットの方がグルーオンジェットよりも大きな変化が見られることを示した.グルーオンジェットの内部構造が,媒質効果が小さい非常に初期の段階でのパートン分岐の角度が大きく,SoftDropを行なうと真空様シャワーの構造を色こく反映してしまい媒質効果がほぼ見えなくなってしまう.しかしクォークジェットは初期の段階でのパートン分岐の角度が小さく,その後の媒質効果の影響がSoftDrop を行なった後のハードな成分にはっきりと現れることを示した.さらに,より現実的な設定のもとでのシミュレーションによる理論予言行い,クォークジェットが支配的である,gamma-jet ペア生成事象においては,このクォークジェットに現れる特有の内部構造変化パターンがはっきり現れることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は,現実的な高エネルギー重イオン衝突で現れる, ジェット-QGP相互作用のフレイバー (クォーク/グルーオン) 依存性や,そのgamma-jet ペア生成事象における現れについての新しい結果も得られており,順調に進んでいると言える.
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今後の研究の推進方策 |
これまで得られた結果には,ジェットの非常に初期の最もハードな状態の分岐には,媒質効果が強く抑制されて,ほぼ真空中と同様の発展をするという効果が,特に実験結果との比較から非常に重要であることがわかっている.この効果は現在,半解析的数値計算からも示唆されているが,背景にある基礎的な機構をより明確にするためにはもう少し理論的に解析する必要がある.現在はその理論解析に向けた研究を計画している.さらには,グルーオンジェットの内部構造変化はそのハードな成分の構造に影響をほとんど与えないことがわかった.これは逆に,クォークジェットとグルーオンジェットにおける非常にソフトな成分の発展が大きく異なることを示唆する.その様なソフトな成分が媒質中で熱化して流体フローを起こす時,そのフロー構造にどの様な違いが現れているのか,またそれは inclusive jet とgamma-jet を比較することで実験で観測可能であるのかを調べる予定である.
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