研究課題/領域番号 |
22K14042
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 釧路工業高等専門学校 |
研究代表者 |
上床 隆裕 釧路工業高等専門学校, 創造工学科, 講師 (80912427)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 超弦理論 / ゲージ・重力対応 / 高階スピン重力 / 共形場理論 / ドジッター時空 / 高階スピン双対性 / AdS/CFT対応 |
研究開始時の研究の概要 |
高階スピン重力理論は、AdS/CFT対応の一種である高階スピン双対性をもつ模型として盛んに研究されてきた。この理論は弦理論に非自明な高エネルギー極限をとることで現れるため、弦理論や一般のAdS/CFT対応を理解するための重要な模型として期待されているが、その詳細は長らく謎に包まれてきた。本研究の目的は、申請者たちの最近の論文で新たに開発した、ウィルソンラインを用いた相関関数の解析手法を用いて、高階スピン双対性の詳細を明らかにすることである。特に、超対称化した3次元高階スピン重力理論を調べることで、高階スピン重力理論と超弦理論をつなぐ新たな関係式を導出することを目指したい。
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研究実績の概要 |
本研究の主な目的は,高階スピン双対性の観点からゲージ.重力対応や超弦理論を理解することである.特にウィルソンライン等を用いた解析を通して,3次元高階スピン重力理論の量子効果を詳細に理解したい.2023年度は前年度に引き続き,特にゲージ・重力対応の一種であるdS/CFT対応に着目して研究した.2023年度の研究成果は主に「ホログラフィーを用いた3次元ドジッター時空における重力経路積分の複素鞍点の解析」と「その準古典解析」の2つである. 前者については,3次元ドジッター時空での重力経路積分について,dS/CFT対応の観点から複素鞍点を決定する方法を議論した.特に高階スピンのチャージを含むようなブラックホールについても詳細に解析した.この際,ドジッターと反ドジッター時空のパラメータ対応を明らかにし,その特徴を双対な共形場理論との関係も用いて明らかにした.また後者については,3次元ドジッター・反ドジッター時空の重力経路積分における準古典鞍点を,双対なリウビル理論を用いて具体的に決定できることを示した.特にmini-superspaceを用いたアプローチにより我々の手法の強い証拠を得ることができた.また,重力理論のチャーン・サイモンズ形式を解析し,双対なリウビル作用との関係を調べた.本研究で着目しているウィルソンラインによる解析手法についても,上述の模型に応用できることが期待される.この方向の進展については,今後の研究で明らかにしたいと考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,高階スピン双対性の観点からゲージ・重力対応や超弦理論を理解することにある.その中でも今年度は,前年度に引き続きドジッター時空に関するゲージ重力対応の模型に着目し,3次元高階スピン重力を用いた複素鞍点の決定やその準古典解析に関しての理解をもたらすことに成功した.宇宙初期はドジッター時空で近似できると考えられており.ドジッター時空における量子重力を理解することは本研究課題において重要である.そのため,当初の計画には無かったが本研究課題の目標達成に大きく貢献する内容であるため,ドジッター時空及びその重力経路積分について積極的に研究した.特に本研究課題で着目するウィルソンラインを用いた解析との相性が良いため,申請者のこれまでの研究と組み合わせることで多くの応用が可能であると考えられる. 以上のように,2023年度は研究計画を進展させる成果が得られたため,本研究課題は順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
ここまでの研究で,ドジッター時空の高階スピン重力理論の理解に大きな進展があった.今後も引き続き得られた成果を発展させて,高階スピン双対性の観点からゲージ・重力対応や超弦理論を理解することを目指す.今年度の研究成果により,重力理論のチャーン・サイモンズ形式と双対なリウビル理論との関係について理解が深まったので,これらの詳細な解析を呼び模型の拡張を進めたい.特にチャーン・サイモンズ形式は申請者の開発したウィルソンラインを用いた解析手法と相性が良いため,申請者のこれまでの研究と組み合わせることで多くの応用が可能であると考えられる.
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