研究課題/領域番号 |
22K14045
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
田屋 英俊 国立研究開発法人理化学研究所, 数理創造プログラム, 基礎科学特別研究員 (30807970)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 強い場の物理 / 非摂動効果 / 非平衡過程 / 量子電磁力学 / Schwinger機構 / Schwinger効果 / 粒子生成 |
研究開始時の研究の概要 |
強い電磁場中の物理過程は、理論・実験ともに十分な理解がない標準理論の未開拓問題である。電磁場が強いと場の強さが結合定数の小ささを補うことで、電磁場は系を構成する素粒子と非摂動的に相互作用する。強い電磁場中ではこの非摂動相互作用のため、電磁場が弱いときの物理過程と劇的に異なる物理過程が起こる。本研究の目的は、強い電磁場中の散乱・放射の素過程を理論的に定式化し、さまざまな極限状況における強い電磁場の非線形物理過程の現象論的役割および実験的シグナルを明らかにすることである。
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研究成果の概要 |
強い電磁場を系に印加すると系は非線形に応答する。強い電磁場中の非線形過程は、理論・実験ともに十分な理解のない未開拓領域であり基礎的な重要性がある。さまざまな極限状況で強い電磁場が現実に生成され、それに伴う非線形過程が重要な現象論的役割も果たす。強い電磁場の非線形物理過程の解明を目的に、本研究では、強い電磁場中の散乱・放射の素過程の定式化を不安定真空中の散乱理論や半古典近似を活用することで完成させた。この定式化を、真空複屈折や誘電率やカイラリティ生成、また、宇宙の再加熱や重イオン衝突といった、非常に幅広い物理過程・系に適用し、高強度場が及ぼす非摂動・非平衡過程の現象論的な帰結を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
電球や太陽など、私たちの周りは様々な光で満ちている。身近な光はただ眩しいだけだが、強度を強くすると、虫眼鏡で紙が燃えたりレーザー加工ができたり、非自明なことが起こり出す。すると「光を極限的に強くすると何が起こるのか?」という疑問が浮かぶ。本研究は、この疑問の理論的解明を目指した研究である。極限的に強い光は、従来理論では記述できない非線形な物理過程を引き起こす。この非線形過程は単なる学術的対象ではなく、宇宙などの現実の極限環境で重要な現象論的な役割も果たす。本研究によって、こうした非線形過程を記述する基礎理論が完成し、また、それにより現実の極限系で強い電磁場が果たす現象論的役割の理解が深まった。
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