研究課題/領域番号 |
22K14056
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
周 啓東 名古屋大学, 高等研究院(素粒子), 特任助教 (50833191)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | レプトン普遍性の破れ / 標準模型を超える新物理 / レプトン普遍性 |
研究開始時の研究の概要 |
標準理論を超える新物理の探索において、b → c τ ν 過程や b→ s l l過程ではレプトン普遍性の破れを示唆する観測結果が得られている。本研究は、質量の重い第三世代のタウレプトンに着目してb → c τ ν崩壊過程で捉えている新物理の兆候の検証を行う。従来Belle実験のb → c τ ν 測定の3倍量のBelle II実験データを用いるとともに、その解析手法を開拓することによって、測定の精度を上げる。これらにより、レプトン普遍性の破れの有無を明らかにし、標準模型を超える物理の発見を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、これまでB→D(*)τνとB→D(*)lν (l = e, μ)の崩壊頻度の相対比RD(*)の測定で兆候があったレプトン普遍性の破れの有無を明らかにし、新物理の発見を目指す。 本年度では、Belle II実験のデータを用いる初めてのRD(*)の測定を行った。信号事象の選択の最適化、二次元のフィッティングによるRD(*)の決定、および主要な系統誤差の評価まで進めてきた。シミュレーションを用いて、Figure Of Merit(FOM)による信号事象の選択の最適化を行い、Belle実験の同じRD(*)の測定よりFOMは35%を向上した。二次元のフィッティングの手法を開発して、シミュレーションに基づいたRD(*)に対する感度は、Belle II実験の189 fb^-1のデータでは+17%/-16%となり、Belle実験の711 fb^-1のデータと同程度である。本解析における主要な系統誤差を評価し、最も大きな系統誤差は+10.8%/-8.0%である。Belle II実験の189 fb^-1データを用いる初めてRD(*)の測定は、統計誤差が主要な誤差となる測定であり、これから蓄積されるBelle II実験のデータが増加するとともに、RD(*)の測定の感度も向上する。これらの結果は、国際会議で招待講演として報告した。 本年度は、RD(*)解析の最終結果への収束に向けて進めた。Belle IIの初めてのRD(*)の結果は次の年度中に公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Belle IIで初めてのRD(*)測定の解析フレームワークを構築した。RD(*)の決定で用いる二次元のフィッティングの測定量は、機械学習による多変数の測定量と機械学習を用いない測定量による二つのものを開発した。それぞれの測定量のRD(*)の感度と系統誤差を比較した上で、本解析は機械学習を用いない手法を採用した。本RD(*)測定は、Belle II実験の189 fb^-1データでBelle実験の711 fb^-1のデータが同じくらいの感度を得られていたため、解析の手法の開発に成功した。主な系統誤差が評価できたことは、当初の計画以上に進展しているところもあった。
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今後の研究の推進方策 |
Belle II実験のデータを用いる初めてのRD(*)解析の最終結果への収束に向けて、系統誤差の評価を全部完成させる。測定した結果を論文にまとめる。
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