研究課題/領域番号 |
22K14057
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
池田 智法 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD) (90898454)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | コンプトンカメラ / ガス検出器 / MeVガンマ線 / MPGD / 宇宙線 / 素粒子 |
研究開始時の研究の概要 |
宇宙MeVガンマ線観測は元素起源と暗黒物質の両方にアクセス可能な重要な観測領域であるが、その観測は20年もの間進歩していない。これを打開するにはMeVガンマ線望遠鏡ETCCが非常に有用だが、有効面積が小さいことが欠点であった。そこで本研究では、コンプトン散乱体としての役割に特化した「高圧CF4ガス充填式飛跡検出器」を開発し、この弱点を克服する。高圧下でのガス検出器の運用は、微細な電極間での放電が問題となるが、これをガラス素材で製作された飛跡検出器u-PICで解決する。これが完遂しETCCに導入できれば、1ヶ月の気球実験で世界最高感度の宇宙MeVガンマ線観測が可能となる。
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研究実績の概要 |
宇宙MeVガンマ線観測は元素起源と暗黒物質の解明にアクセス可能な重要な観測領域である。 しかし、MeVガンマ線観測は他のエネルギー帯域と比べて非常に遅れており、COMPTEL実験の観測から20年もの間、感度が向上していない。その理由は、これまで使用されてきた従 来型コンプトンカメラのバックグラウンド除去能力とイメージング能力の欠如である。これを解決するためには、コンプトン散乱事象の全ての情報を取得可能な、電子飛跡検出型コンプトンカメラETCCが有用である。しかし、ETCCでは、コンプトン散乱体として物質密度の小さいガスを用いているため、ガンマ線に対する有効面積が小さいという問題がある。そこで本研究では、コンプトン散乱断面積の大きなガスであるCF4ガスを高圧ガス環境下で運用する高圧CF4ガス充填式飛跡検出器の開発を行う。 去年度実施した2軸u-PICとCF4/Neのガス試験をもとに、3軸u-PICのCF4/Neの1気圧下でのガスゲイン特性の試験を行った。3軸u-PICはその電極構造の特徴のために、従来型2軸u-PICよりも3倍も大きいガスゲインが得られることが確認された。さらに、Garfield++、Geant4シミュレーションを用いて検出器で得られる信号をエミュレートし、畳み込みニューラルネットワークによって、電子の反跳方向の決定を行った。シミュレーションでは、従来使われていた2軸u-PIC+Arガスより、1.5倍も決定精度が良いことが確認された。また、実際に今回開発したガスTPCと、GSOシンチレータアレイを組み合わせてETCCを制作し、コンプトン散乱角の決定精度を評価したところ、3.8度の角度決定精度を達成した。最後に、今回開発したETCCの背景事象除去能力を評価する前段階として、過去の気球実験データを解析し、背景事象の見積もりを行った。
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