研究課題/領域番号 |
22K14062
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
鷲見 貴生 国立天文台, 重力波プロジェクト, 特任助教 (30822283)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 背景重力波 / シューマン共振 / KAGRA / 地下実験 / 環境磁場 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、国際共同重力波観測における背景重力波探索を行う。背景重力波とは、この宇宙全体に定常的に存在していると考えられている重力波であるが、未だに検出はされていない。背景重力波を探索する上で妨げとなる雑音が、シューマン共振と呼ばれる地球上全体でコヒーレントな共振磁場である。そのため各実験サイトで環境磁場を重力波観測と同時かつ精密にモニターし、その影響を評価し除去する必要がある。本研究では特に神岡地下に建設されたKAGRAでのシューマン共振磁場モニターおよび環境磁場応答評価を完遂し、海外のLIGO/VirgoとKAGRAのデータを組み合わせた背景重力波探索解析を初めて実施する。
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研究実績の概要 |
シューマン共振磁場観測においては、積雪期のため2022年12月に一時的に回収した地上観測機器を、2023年5月に構築し観測を再開した。その後約2ヵ月間のデータ取得の後にデータ収集装置にトラブルが生じたため、国内代理店に輸送・点検を行った。調査の結果、ソフトウェア上の問題であることが判明し、対策を施した。2023年10月に再度、神岡地上におけるセットアップを構築し観測を再開した。その際、積雪期にも観測を継続できるようにケーブルを保護管に通したうえで地中に埋設し、データ収集装置用に雪除け屋根を設置した。さらに観測データを自動で回収・モニターするシステムを構築し、2023年末から2024年春にかけて殆どメンテナンスフリーで運用することができた。 背景重力波探索の見積もりについては、昨年度に行った2検出器解析(VK)を4検出器解析(HLVK)に拡張し、時間変動を含む磁場観測の実データを用いて天体起源背景重力波を想定した解析を行い、7月の国際会議にて口頭発表した。また重力波源として初期宇宙の真空相転移を想定した解析を行い、11月の国際会議にてポスター発表を行った。 重力波観測としては、KAGRAは2023年5月末から4週間、LIGO-Virgo-KAGRA国際共同重力波観測(通称O4a)に参加した。本研究課題ではその間、神岡地上におけるシューマン共振磁場観測を同時に実施し、KAGRA主干渉計信号(重力波チャンネル)への環境磁場カップリングの評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神岡地上におけるシューマン共振磁場観測、背景重力波探索の見積もり、KAGRA主干渉計信号への環境磁場カップリングの評価ともに当初の予定通り遂行でき、それぞれ成果が得られているため。
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今後の研究の推進方策 |
神岡地上におけるシューマン共振磁場観測については、自動で安定的にデータ取得を継続できる体制が整ったため、低頻度のメンテナンスにてこれを継続する。 背景重力波探索の見積もりについては、これまで重力波パラメタとして特定の値を想定した解析を行ってきたが、これを様々なパラメタ空間に対する網羅的な評価に拡張し、シューマン共振磁場の影響が大きく/小さくなる領域を調査する。 今後の研究の推進方策としては、KAGRA主干渉計信号への環境磁場カップリングの評価と実際の背景重力探索解析が主となる。定期的に磁場雑音注入試験を実施しカップリング評価の 精度を上げ、2024年末開始予定(O4b)および2027年開始予定(O5)のLIGO-Virgo-KAGRA国際共同重力波観測にてコヒーレント解析を実施する。
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