研究課題/領域番号 |
22K14064
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
辻 直美 神奈川大学, 理学部, 助教 (50878444)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 宇宙線 / ガンマ線観測 / X線観測 / 銀河宇宙線 / 粒子加速 |
研究開始時の研究の概要 |
数ペタ電子ボルトにまで上るエネルギーを持つ銀河宇宙線の加速機構がどのように始まり、どのように終わるかは未解決問題として残されており、それぞれ注入問題と最高エネルギー問題として知られている。本研究は、銀河系内の超新星残骸などの天体について、電波、X線、ガンマ線の観測を用いて、銀河宇宙線における注入問題と最高エネルギー問題に取り組む。
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研究実績の概要 |
宇宙空間を満たす高エネルギー荷電粒子は宇宙線と呼ばれ、中でも数ペタ電子ボルト(PeV)以下のエネルギーを持つ宇宙線は、天の川銀河系内に起源を持つと考えられてきた。特に超新星残骸における衝撃波加速が有力な粒子加速のメカニズムである。しかし、加速機構がどのように始まり、どのように終わるかは未解決問題として残されている(注入問題と最高エネルギー問題)。本研究では多波長観測を用いて、この2大問題の解明に迫る。 未同定ガンマ線天体HESS J1641-463のX線解析を行った。ガンマ線放射領域から有意なX線は検出されなかったため、フラックスの上限値を求めた。ガンマ線スペクトルとX線の上限フラックスをもとにモデリングを行い、宇宙線陽子と星周物質内の陽子の衝突から生じる二次電子起源のX線放射について議論を進めた。今回はX線放射が確認できなかったため、モデルを制限することはできなかったが、より深い観測や将来の衛星での検出可能性、さらには二次電子のX線観測から親陽子の最大エネルギーを推定できる可能性を検討した。これらの結果を論文にまとめた(Tsuji et al. 2024, ApJ)。また、同天体のHESSのデータ解析にも着手した。 PeVまでの加速器として近年注目を集めているマイクロクエーサーSS 433/W50について、新たにチャンドラ衛星による西側のノットの観測が実施され、そのデータ解析を行った。HESS J1641-463の結果と併せて国内外の学会、研究会で報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ガンマ線天体HESS J 1641-463のX線観測に関する論文を出版することができた。また、マイクロクエーサーSS 433のチャンドラ衛星によるX線データが新たに取得され、そのデータ解析に着手できたため、今年度はおおむね順調に進んだと言える。
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今後の研究の推進方策 |
X線観測については、今年度に新しい観測がスケジュールされているものがあり、それらが観測され次第、データ解析に着手する。既にデータが取られている天体については解析を進めていく。データが不足していると思われる天体に関しては、積極的に観測公募に応募する。 ガンマ線観測については、TeVガンマ線望遠鏡HESSを用いたデータ解析をこれまで通り続けていく。HESSを運用する研究機関や運用サイトを訪れ、結果を議論すると同時に、解析ツールの運用や精度向上にも貢献する。 随時、オンライン会議や対面会議により共同研究者と連絡を取り合い、研究を進めていく。
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