研究課題/領域番号 |
22K14066
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小森 健太郎 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (50897650)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 重力波 / オプトメカニクス |
研究開始時の研究の概要 |
微視的な原子、分子の振る舞いを記述するシュレディンガー方程式は、質量の大きな巨視的振動子にもそのまま適用可能なのであろうか?この問いに否定的な解答を与える、拡張標準理論のひとつであるCSL模型に対し、先行研究を超える実験的な制限を与えるため、宇宙空間で自由質点を用いた精密な変位測定を行うことを目指す。本研究では、広帯域かつ低雑音の光検出器や、変位測定で用いるレーザー光の量子的な雑音を低減するためのスクイーズド光生成装置を、小型ブレッドボード上に統合する。光学系の宇宙対応や、宇宙での測定に向けた地上実証を完了させる。
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研究実績の概要 |
微視的な原子、分子の振る舞いを記述するシュレディンガー方程式は、質量の大きい巨視的な振動子にもそのまま適用可能なのであろうか?巨視的重ね合わせ状態の実現が困難であるため、この問いに対する実験的な検証はこれまでほとんど行われていない。近年では、質量に起因する補正項を導入するCSL模型と呼ばれる拡張量子理論が注目され、実験的検証も行われているが、精度はいまだ不十分である。先行研究では検証周波数領域の狭さ・懸架支持に伴う雑音が問題となっ ており、本研究ではこれらの問題点を根本的に改善可能な宇宙空間での検証を目指し、地上での実験系構築を完了させることを目的としている。用いる実験系は量子スクイーズド光を利用した機械光学結合系であり、衛星搭載が可能となるよう小型化を行う。 本年度は、スクイーズド光を利用するような光学実験で問題となる、レーザー光の強度雑音および周波数雑音の低減を行った。古典的なレーザー光の強度雑音は、ショットノイズ程度にまで十分十分安定化する必要があり、具体的には観測対象となる1 Hz以上の周波数において、相対強度雑音1e-8 /√Hz以下まで低減しなければならない。現在までで10 Hz以上の周波数では要求値を満たすことに成功しているが、技術的に難易度の高い1-10 Hzにおいては数倍から1桁程度、強度雑音が大きくなっている。その他にも、レーザー光の周波数安定化を行い、安定化の制御ループが設計通りに動作することを確認した。来年度は、引き続き光学系構築を進めるとともに、強度安定度の向上や周波数安定度の制御ループ外での評価、そして試験質量となる数10 mg程度の微小鏡つきねじれ振り子の作成を行う計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画と比較して順番は異なるものの、計画全体における達成率という観点ではおよそ計画通りに進行しており、おおむね順調に進展していると言える。具体的には、10 Hz以上の周波数帯における相対強度雑音1e-8 /√Hz以下の達成と、安定した周波数制御の構築である。
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今後の研究の推進方策 |
今後はまず、1-10 Hzにおいても相対強度雑音1e-8 /√Hz以下を達成し、宇宙空間でのCSL模型検証のための要求値を満たすことを目指す。また、すでに設計済みのモノリシック光学系の構築を行い、これまでの研究で取り組んできた強度安定化、周波数安定化と組み合わせ、スクイージングを達成する。
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