研究課題/領域番号 |
22K14075
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
内山 久和 愛媛大学, 宇宙進化研究センター, 研究員 (30869417)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 活動銀河核 / 銀河形成 / 銀河進化 / 天文学 |
研究開始時の研究の概要 |
宇宙の進化を理解するためには「クェーサー」と呼ばれる天体がどのような場所で発現し、周辺銀河へどの程度影響を与えるのかを明らかにする必要がある。このようなクェーサーと周辺銀河の共進化の重要性は早くから認識されていたが、解明に必要な観測の精度や規模の実現が叶わず、統一的な理解には及んでいないのが現状である。申請者は、すばる望遠鏡(可視光)・X 線天文衛星eROSITA・赤外線天文衛星WISEおよびSpitzerの観測データを組み合わせた大規模なデータセットを構築する。これを利用することで、世界でも類を見ない規模の多波長天体カタログが得られると同時に、クェーサーと周辺銀河の共進化を観測的に解明する。
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研究実績の概要 |
ダークマターの分布を探ることは宇宙の進化を解明する上で必要不可欠であるが、その分布を把握するためには「クェーサー」と呼ばれる明るい活動銀河核がどのような場所で発現し、周辺銀河へどの程度影響を与えるのかを明らかにする必要がある。本研究はクェーサーとそれを取り巻く環境をクェーサーの進化段階ごとに解明することを目的とする。 すばる望遠鏡の超広視野撮像観測装置HSCによる大規模探査「HSC-SSP」を利用することにより、z=0.3-1.4の時代の電波帯で明るい活動銀河核の周辺環境を統計的に特徴づけた。結果として、これらの活動銀河核の周辺密度は赤方偏移に対して非常に弱いながらも有意に負の相関を示しており、赤方偏移に伴って明るい活動銀河核の存在割合が増加していることが示唆される。また、軽い活動銀河核は平均的な密度環境に存在する傾向にあり、一方で重い活動銀河核は高密度領域に存在することが分かった。加えて、活動銀河核周辺密度は質量降着率と負の相関を持つことが分かった。これらの結果から、大質量活動銀河核は過去に起こった銀河合体により成熟し、z=0.3-1.4の時代ですでに質量降着がほぼ停止するに至った一方で、クェーサーのような比較的軽い活動銀河核はそのような合体を回避したために、この時代で活発な降着を起こしているということが示唆される。また、HSC-SSPを利用することでz=4.72の時代の明るい活動銀河核の周辺密度を計測し、この天体は高密度領域に存在することを解明した。これにより、宇宙の広い時代に渡って活動銀河核の性質と発現場所との関係に強い制限を与えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、(1)さまざまな時代でのクェーサーの環境調査ならびに(2)可視光帯で暗い「塵に埋もれたクェーサー」の環境解析の実施を計画していた。(1)については「研究実績の概要」で示したように、すでに論文としてまとめられ出版されている。(2)についてはX線天文衛星「eROSITA」の深くて広いサーベイデータを利用することが不可欠であるが、eROSITAチームと連携しながら研究を進めてきており、すでに結果を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度には埋もれたクェーサーの発現場所に関する研究結果をまとめ、論文として出版する。また、死にかけのクェーサー環境についての調査を行う。令和6年度は死にかけのクェーサーの環境に関する研究結果を論文としてまとめて出版する。また、クェーサーによる光蒸発効果についての調査も行い、研究結果を論文としてまとめて出版する。
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