研究課題/領域番号 |
22K14079
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
大野 良人 国立天文台, ハワイ観測所, 助教 (20818017)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 補償光学 / 大気揺らぎ / トモグラフィ / 波面センサー / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では宇宙望遠鏡を凌駕する可視波長域で0.04秒角以下の高空間分解能観測を実現するために、複数のレーザーガイド星とトモグラフィ技術を用いて大気揺らぎを3次元的に測定・補正するレーザートモグラフィ補償光学の性能をさらに向上させる波面推定手法の開発を行う。限られた波面センサーの情報から時間変化する大気揺らぎの影響を高精度で推定するために、これまでの空間3次元に加えて大気揺らぎの時間変化の性質を利用した4次元的な波面推定手法を開発し、すばる望遠鏡用に開発が進められているレーザートモグラフィ補償光学装置での実証を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では宇宙望遠鏡を凌駕する可視波長域で0.04秒角以下の高空間分解能観測を実現するために、複数のレーザーガイド星とトモグラフィ技術を用いて大気揺らぎを3次元的に測定・補正するレーザートモグラフィ補償光学(LTAO)の性能をさらに向上させる波面推定手法の開発を行う。限られた波面センサーの情報から時間変化する大気揺らぎの影響を高精度で推定するために、これまでの空間3次元に加えて大気揺らぎの時間変化の性質を利用した4次元的な波面推定手法を開発し、すばる望遠鏡用に開発が進められているレーザートモグラフィ補償光学装置での実証を行う。今年度は、まずシミュレーションを行うための大規模計算機の導入を進めた。この導入した計算機と所持しているGPUを用いた並列計算を導入することでAOシミュレーション計算が20倍以上高速になり、より細かい時間サンプリングのシミュレーションが可能となった。その結果、今まで考慮してこなかった波面センサー検出機のローリングシャッター読み出しによる画像の行ごとの時間ずれがLTAOの性能に影響することが明らかになった。そのため目標としている性能を達成するためには、単純な大気揺らぎの時間変化だけでなく、ローリングシャッター読み出しによる画像内の時間差についても考慮した推定手法の開発が必要となることがわかった。 大気揺らぎの時間変化については共同研究者と共に解析を進めてきた。波面センサーで得られた明るさの揺らぎから高層の揺らぎの風速を推定し、他の測定と一致する結果が得られた。より複雑な変化をする地表付近や望遠鏡ドーム内の揺らぎについては、引き続き測定を行いつつ調査を進めていく。波面推定手法については開発途中である。今後、今年度に明らかとなったローリングシャッターの影響も含めて時間方向の情報を用いた推定手法を開発し、実証機を用いた実証を行なっていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大規模計算のための環境については整備を完了し、これまでよりも効率的かつ詳細なシミュレーションを行うことができるようになった。また、大気揺らぎの時間変化の性質の調査については共同研究者と共に解析を進めており、そこまで大きな遅れとはなっていない。一方で、波面推定手法の開発については、今年度に明らかとなったローリングシャッターの影響も考慮した手法の開発が必要であり、次年度に引き続き行なっていく必要がある。並行して、開発する推定手法を実証機に制御系にどのように実証するかの検討も進めており、様々な手法に対応できるような制御系の設計を考えることで、新しい推定手法を開発後すぐに実装できるようにする。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度はこれまで得られた大気揺らぎの時間変化の情報や波面センサーの検出機のローリングシャッターの影響を考慮した新しい波面推定手法を開発し、シミュレーションと実証機での実証を行うことを目的とする。年度の前半では、これまで構築した大規模計算環境を活用して、手法の開発とシミュレーションによる実証を進める。後半部分では、開発した手法の実証機への実装を進める。実証機は年度の終わりにすばる望遠鏡に搭載される予定であるため、年度内のオンスカイでの試験は困難であることが予想されるが、実験室での望遠鏡や大気揺らぎを模したシミュレータ光学系が構築されているため、それらを用いた実証を進め、将来のオンスカイでの試験に臨むための準備を完了する予定である。
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