研究課題/領域番号 |
22K14084
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17010:宇宙惑星科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
古賀 亮一 名古屋大学, 環境学研究科, 学振特別研究員(PD) (10889190)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 赤外分光 / 結晶成長 / イオ / 中間赤外 / 二酸化硫黄 |
研究開始時の研究の概要 |
木星衛星イオは太陽系において最も火山活動が活発であり、SO2を主成分とした希薄な大気 および表面霜に覆われている。本研究では中間赤外波長帯における実験室分光測定と観測で 得られたスペクトルの比較を通じて、イオの表面や大気に存在するSO2の凝縮・昇華による 循環、及び太陽光やイオンによる分解や化学反応の理解をめざす。特にイオ表面の霜に着目し、その空間二次元のSO2中間赤外スペクトルを初めて取得する。
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研究実績の概要 |
木星衛星イオは太陽系において最も火山活動が活発であり、SO2を主成分とした希薄な大気および表面霜に覆われている。先行研究ではGalileo探査機によって地面から放出された赤外光が観測され、特定の波長の吸収スペクトルの幅や深さから表面SO2霜の大きさや疎密がイオの場所によって異なることが明らかにされている。しかし、これらの表面霜の特性と固相のSO2の生成・成長過程の関係は不明である。本研究では中間赤外波長帯における実験室分光測定と観測で得られたスペクトルの比較を通じて、イオの表面や大気に存在するSO2の凝縮・昇華による循環の理解をめざす。本年度では希薄かつ低温の大気、表面霜を実験室で再現し、赤外分光によって表面SO2霜の凝縮・昇華過程のその場測定を行った。 以下の手順で実験を行った。まず、クライオスタットと真空チャンバー、ターボ分子ポンプ、等倍光学系等で構築される実験装置を構築する。実際の実験ではターボ分子ポンプを用いてクライオスタットをイオの大気圧に近い~10-3 Paまで減圧し、デュアー内に液体窒素を注ぐことによってコールドヘッドを90 Kの低温に冷却する。赤外透過ZnSeプレートにSO2ガスを噴霧することで、SO2霜を堆積させる。その後、90 K (イオの夜面や木星蝕中)から120 K(昼面)の間で温度を変化させつつ、測定用の強い赤外光を表面霜に照射した。表面霜によって吸収された光をイメージングフーリエ変換赤外線分光器(2D FT-IR, Qi et al., 2015)で吸収スペクトルを計測した。この実験の成果は天文学会等で口頭発表した。分子動力学シミュレーションを用いた詳細な結果の解釈および再実験は来年度実施予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
真空低温およびSO2の霜が堆積する環境を再現できる実験装置を完成させることができた。その後、実際に90Kの環境下でSO2の霜を堆積させ、その後二次元の中間赤外透過スペクトルを取得することができ、実験を開始することできた。液体窒素の枯渇を利用して90Kから130Kまでの温度上昇に伴うスペクトルの変化を取得することもできた。しかし、サンプルホルダーに装着した抵抗および電圧コントローラーの不具合により、液体窒素をデュアーに入れたまま温度の上昇と下降を繰り返すことができず、焼きなまし(アニーリング)によるSO2結晶の成長・変性を観察することはできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
不具合のあった抵抗の配線および電圧コントローラーの修理を行い、再度サンプルホルダーの昇温・下降を繰り返す実験を行い、アニーリングによるSO2結晶の成長・変性を観察する。この実験が成功したのち、本年度行う予定の、重水素ランプを使ったSO2の霜への紫外線照射実験を行い、霜の変性に伴うスペクトルの分布の変化を測定する。堆積した霜の厚さを定量的に評価するため、ガスの導入した量とスペクトルのピーク吸光度の対応関係の評価も行う。 東京大学アタカマ天文台(TAO)望遠鏡は2023年度末運用開始予定である。そのため、イオの中間赤外地上観測は次年度に間に合わないが、観測の詳細な計画を立てて、その次の年度に実行可能になるように準備を進める。過去のVoyagerの観測結果を基に、TAO望遠鏡がイオのSO2表面霜の吸収を観測するのに必要な積分時間を計算する。
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