研究課題/領域番号 |
22K14087
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17010:宇宙惑星科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
村上 望 (近藤望) 岡山大学, 惑星物質研究所, 特任助教 (70824275)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 斜長石 / ケイ酸塩メルト / 水の分配 / ガラス構造 / 含水量計 / メルト構造 / 水 / 分配実験 |
研究開始時の研究の概要 |
岩石惑星/衛星で生成されたメルトの含水量を明らかにすることは、地殻や大気の形成・進化を理解する上で必要不可欠であり、斜長石(幅広い組成の地殻に含まれる主要鉱物のひとつ)に含まれる水から、メルトの含水量を見積もる手法が注目されている。本研究では、異なるメルト組成について斜長石-メルト間の水分配実験を行い、回収した実験試料について、含水量や水の存在形態の分析・メルト構造の解析を行う。そして、水の分配を支配するメルト構造由来のパラメータを抽出し、従来よりも格段に広い組成範囲のメルトに適用できる「斜長石-メルト含水量計」を新たに構築する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、引き続き斜長石ーケイ酸塩メルト間における水の分配実験を行なった。Siに富んだケイ長質なメルト組成と、中間質なメルト組成について、水の含有量を変化させながら分配実験を進めた。実験では、天然の岩石から採取した斜長石と、粉末から合成した出発試料(含水ケイ長質メルト組成)を金カプセル中で共存させ、出発物質を全融解させた。結果、実験後試料中の斜長石には組成のゾーニングが見られた。斜長石の組成も水の分配に関係する可能性があるため、今後の分配実験では方法を変更し、含水ケイ酸塩メルトから斜長石を晶出させ、共存する斜長石とメルトの含水量を分析する。 また、水の分配実験と並行して、Siに富んだケイ長質な組成からMgに富んだ苦鉄質な組成のガラス(急冷メルト)について、高輝度X線の回折実験と動径分布関数解析を行い、ガラス構造を分析した。2023年度は微量元素としてZrを用い、Zr周りの構造とケイ酸塩ガラスの構造が、異なるガラス組成についてどのように変化するのかを調べた。Zr周りの構造については、X線回折実験に加えてX線吸収端微細構造分析も行った。結果として、Zrはケイ酸塩ガラスのSi-O-Si網目状構造には影響を与えず、Zr-Oのクラスターとして存在する可能性が高いこと、Zr-O距離やZr-O配位数がケイ酸塩メルトの組成(Al, Mg, Caなど)によって変化することがわかった。以上の実験は、ケイ酸塩メルトの主成分元素組成がメルト中の微量元素周りの構造に影響を与えることを示しており、含水メルトについてもメルトの主成分元素組成とH周りの構造の関係を引き続き調べていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
水の分配実験において、当初は天然の岩石から採取した斜長石を用いることにしていた。しかし、実験を進めていくうち、共存するメルト組成から本来晶出するはずの斜長石組成と実験で実際に使用した斜長石の組成が乖離している場合、斜長石に組成のゾーニングが発生することがわかった。斜長石の組成も水の分配に関係する可能性があるため、水の分配係数を正しく求めるには、別個に採取した斜長石と含水メルトを共存させる方法ではなく、含水メルトから斜長石を晶出させて水分配を調べる方法がより望ましいと考えられる。研究の過程で実験方法の変更を余儀なくされたため、進捗はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
ピストンシリンダー実験において含水メルトから斜長石を晶出させ、共存するメルトと斜長石の含水量から水の分配を調べる。この実験方法では斜長石の粒径が小さくなるため、予定していた FTIRでの含水量分析ではなく、SIMSによる含水量分析を行う。SIMSは高知コア研究所の装置を用いる。
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