研究課題/領域番号 |
22K14093
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
箕輪 昌紘 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (30929435)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 氷河 / 氷床 / カービング / 氷山分離 / 氷河変動モデル / 氷震 / 写真解析 |
研究開始時の研究の概要 |
氷河・氷床からの氷損失は増加し海水準変動に大きな影響を与えている.海や湖に流れ込む氷河(カービング氷河)でその変動が顕著である.しかしながら,カービング氷河の変動を特徴付けるカービング(氷山分離)は,複数のプロセスが相互作用することや,現地観測の困難さからのその定量化,発生機構の理解,数値モデル化が遅れている.本研究では多地域のカービング氷河で個々のカービングの定量化およびカービングに関わる諸現象の測定を実施する.カービングと環境要因を比較することで,カービングの発生機構を解明する.得られた結果に基づきカービングを氷河流動モデルに取り込み,感度実験を通してカービングの促進・抑制機構を解明する.
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研究実績の概要 |
氷河・氷床からの氷損失は増加し,海洋に流出する淡水は,海面上昇や大気海洋循環に大きな影響を与えている.海や湖に流れ込む氷河(カービング氷河)でその変動が顕著である.しかしながら,カービング氷河の変動を特徴付けるカービング(氷山分離)は,複数のプロセスが相互作用することや,現地観測の困難さからその定量化,発生機構の理解,数値モデル化が遅れており,氷河・氷床変動予測における最大の不確定要素である.初年度は,南極,グリーンランド,パタゴニア,ヒマラヤといった各地域のカービング氷河で個々のカービングの定量化およびカービングに関わる諸現象の野外観測を実施した.個々のカービング現象を定量的に理解するために,写真データを解析し,カービングイベントの発生場所,規模,頻度の解析を行うコンピュータープログラムの開発を行なった.研究成果は,国内外の学会での発表や国際誌での学術論文として発表を行なっている.今後,カービングと環境要因を比較することで,カービングの発生機構を解明する.得られた結果に基づいてカービングを氷河流動モデルに組み込み,感度実験を行うことで,カービングの促進・抑制機構やプロセス間の相互作用,氷河・氷床の変動に与える影響について理解を深める.得られた知見は氷河・氷床変動予測の高精度化に貢献するものである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は計画の通りヒマヤラ,グリーランド,パタゴニア,南極におけるカービング氷河で野外観測の実施,観測依頼によるデータの回収を行なった.カービング現象を定量的に測定するために,インターバルカメラや地震計の設置を行うとともに,カービングに関わる氷河流動速度や気象,氷河末端前の基盤地形の測定を実施した.取得したデータから定量的にカービングの頻度や規模,発生場所を解析するために,写真解析を行うコンピュータプログラムの開発を実施している.画像間の変化部分からカービング現象の特徴量の定量化を図っている.また複数台のカメラで撮影した画像から写真解析を実施し,氷河末端の三次元モデルを再現し,カービングの特徴量の定量化も行なっている.一方で,カービングの物理背景を理解するための氷河流動モデルの開発も進めており,今後カービングの時系列変化や環境要因との関わりを考察したのちに,数値モデルを応用し,カービング発生の物理背景を考察する.本研究に関係して日本雪氷学会研究発表会において一件の発表を行なった.また,Journal of Glaciologyに関連した改稿後の原稿が再査読中である.
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今後の研究の推進方策 |
開発している写真解析のプログラムをこれまでに取得した全てのデータに適用しカービングの特徴量の解析を実施する.特にコンピューターモデルに関しては,論文としてまとめ報告する.定量化したカービングの特徴量は,気象や,海洋,湖,氷河流動といった外部要因と比較を行い,カービングの支配要因について考察を進める.これには,現在開発を進めている氷河流動モデルも用いることで解析をする.氷河流動モデルは境界条件を時間変化させることによって氷河変動を再現できるよう,さらに開発を進める.必要に応じて国内外の研究者と議論を行う.また,南極,グリーンランド,パタゴニアでは通年に渡り装置を運用中であり,データ回収が予定されている. 以上の解析結果は日本雪氷学会や日本地球惑星連合といった国内学会やIUGG, AGUといった国際学会において発表をする.
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