研究課題/領域番号 |
22K14095
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
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研究機関 | 千葉大学 (2023) 弘前大学 (2022) |
研究代表者 |
岡崎 淳史 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 准教授 (10790842)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 水同位体 / 大気大循環モデル / データ同化 / アンサンブルカルマンフィルタ / 大循環モデル / 古気候プロキシ |
研究開始時の研究の概要 |
水同位体は、水文学・気候学において、観測では直接は知り得ない情報を得る手がかりとなる。一方、観測情報が時空間的に不十分であることに起因して、その利用は制限されている。本研究は、水同位体の利用促進を目指し、気象学・古気候学で用いられる最先端のデータ同化技術を用いて、同位体の振る舞いを導入した大循環モデルと観測を融合し、地球のあらゆる地点における降水・水蒸気・土壌水・河川水・海水の同位体比を月単位で推定し、過去60年に渡る高精度なデータセットを創生する。本研究により、流域スケールの水文諸量の正確な推定や、古気候プロキシが気候を記録するプロセスに関する研究が進むことが期待される。
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研究実績の概要 |
水同位体は、水文学・気候学において、観測では直接は知り得ない情報を得る手がかりとなる強力なツールである。一方、観測情報が時空間的に不十分であることに起因して、その利用は制限されている。本研究は、水同位体の利用促進を目指し、気象学・古気候学で用いられる最先端のデータ同化技術を用いて、同位体の振る舞いを導入した大循環モデル(同位体GCM)と観測を融合し、地球のあらゆる地点における降水・水蒸気・土壌水・河川水・海水の同位体比を月単位で推定し、過去60年に渡る高精度なデータセットを創生することを目的とする。 プロジェクト二年目である本年度は、前年度に作成した大気陸面同位体モデルMIROCとアンサンブルカルマンフィルタ手法であるLETKFを用いてモデルパラメタの推定を行った。推定したパラメタは、降水同位体比を計算する上で重要な雨滴再蒸発の度合いを決めるパラメタと雪片形成時の過飽和度を決めるパラメタである。本年度は初期的な取り組みとして、月平均降水同位体比を同化した。この結果、双方に対して、明瞭な時空間パターンを示すパラメタが推定された。これらのパラメタは既往研究では時空間的に一定・一様として扱われてきたが、本研究の推定結果は、異なる取り扱いが必要であることを示唆する。今後のモデル開発において重要な指針となる結果を得る事ができた。 また、推定されたパラメタを用いて、パラメタ推定期間とは異なる期間を対象に数値実験を行ったところ、従来パラメタを用いた実験と比較して、推定パラメタを用いた実験の方が良い精度を示した。この傾向は、観測が密な領域で特に顕著であった。以上により、前年度に開発した水同位体データ同化システムを用いて同位体モデルそのものを高度化することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書によれば二年目には同位体データセット作成を完了する予定であった。本年度はデータセット作成完了には至らなかったものの、データセット作成において肝心な同位体モデルの再現性を向上させることに成功している。これにより、作成されるデータセットの精度も向上することが期待される。以上のような進捗状況から、概ね順調に進展していると言うことができるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本年度のパラメタ推定により改善された同位体モデルを用いて、同位体データセット開発に取り組む。加えて、同化する観測量を増やして更なるモデル高度化を目指して、衛星による水同位体観測同化にも取り組む。
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