研究課題/領域番号 |
22K14099
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
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研究機関 | 桜美林大学 (2023) 東京海洋大学 (2022) |
研究代表者 |
山本 絢子 桜美林大学, リベラルアーツ学群, 准教授 (20811003)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | ブロッキング / 大気海洋相互作用 / 西岸境界流 / 中緯度 / 地球温暖化 / 大気循環変動 |
研究開始時の研究の概要 |
ブロッキングはしばしば異常気象を伴うことで知られ、社会・経済的に大きな影響を与えうるが、その物理的理解が未だ不十分であり予測精度は低い。ブロッキングはこれまで大気の水蒸気を考慮しない乾燥過程によって駆動されるとみなされ多くの研究がなされてきたが、最近の研究により湿潤過程の重要性が分かってきた。しかし、湿潤過程で鍵を握る水蒸気の出所や、大気への最大の水蒸気源・熱源であり、将来気候下での温暖化が確実視されている海洋の役割については未だ不明である。本研究では、現在気候および将来気候における海洋のブロッキング強度・頻度への役割を、大気再解析データ及び大気モデルを使った理想化実験によって明らかにする。
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研究実績の概要 |
2024年度はまず、流跡線解析を用い、冬季北太平洋ブロッキングにおける非断熱加熱の効果およびそれに対する海洋の役割の解明に取り組んだ。これまでの解析から、以下の結果が得られている:①北大西洋域に発生するブロッキングに比べて北太平洋域に発生するブロッキングにおける非断熱加熱の割合は若干小さいが非断熱効果は北太平洋域冬季におけるブロッキングにおいても低PVの輸送に重要な役割を果たしている。②北大西洋域より極域を通るルートで北太平洋域のブロッキングに達する粒子が全体に対しては微量であるものの存在し、それら粒子はブロッキング発生緯度および平均PVに寄与している。しかし、これまでの解析方法ではブロッキング一つ一つに対するこれらの粒子の寄与が不明瞭であったため、現在実験設定を見直して実験をやり直している最中である。
また、中緯度でジェット気流の蛇行性を表すwavinessがHighResMIPモデルでどう再現されているのか、また将来気候でどのような理由でどのように変化をし、気候モデルの高解像度化によって結果は変化するのかをLocal Wave Activity収支解析を用いて行った。解析から、HighResMIPモデルはおおむね過去気候のwavinessをよく再現してはいるが、特に高解像度モデルにおいて改善が見られること、将来気候においてはウラル地方を除いたほぼ全ての冬季北半球でwavinessが減少すること、また高解像度による過去気候のwavinessの再現性の良さおよび将来気候で見られるwavinessの弱化の緩和は、共に高解像度モデルでの海洋上での顕熱フラックスの違いによるということがわかり、その結果をまとめて現在論文に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記した通り、流跡線解析を用いた冬季北太平洋ブロッキングにおける非断熱加熱の効果およびそれに対する海洋の役割の解明においては、論文にまとめるだけの解析結果は概ね得られたものの、ブロッキング一つ一つに対しての統計を得られるように、現在実験設定を見直して再実験を行なっている最中である。この再実験の結果が出次第これまで行った解析を再度行い、論文にまとめていく。したがって本実験に関しては若干進展は遅れているところである。
一方、オイラー的な観点から極端現象がモデルの中でどう再現され将来どのようになぜ変化するのかを解明するために行ったHighResMIPモデルを用いたwavinessの過去気候および将来気候における評価は、上記の通り論文にまとめ現在査読の最中である。wavinessはブロッキングの直接的な指標ではないものの、論文に記した通り両者は強く関連しており、特に海洋の解像度によって過去気候における顕熱フラックスの再現性および将来気候における顕熱フラックスの分布が違いがlow-level meridional heat fluxを変化させてwavinessの違いに現れるという物理的な解釈を得ることができた。この結果により、海洋の極端現象への影響をまた別の切り口から力学的に評価することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はまず、現在再実験を行なっている流跡線解析を用いた冬季北太平洋ブロッキングにおける非断熱加熱の効果およびそれに対する海洋の役割の解明の解析を行い、その結果を論文にまとめ投稿する。 次に、Local Wave Activity収支解析を黒潮続流の10年変動に伴うブロッキング変動の解析に用い、流跡線解析の結果も合わせて、ブロッキング変動に対する非断熱加熱の総合的な理解を深めたい。 この結果次第で、今後は大気単体または結合モデルを用いた理想化実験を行い、再解析データを用いて得られた知見の頑健性を調べていく。
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