研究課題/領域番号 |
22K14102
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
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研究機関 | 埼玉県環境科学国際センター |
研究代表者 |
村田 浩太郎 埼玉県環境科学国際センター, 大気環境担当, 主任 (30740104)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 氷晶核 / 雨 / 降水 / バイオエアロゾル |
研究開始時の研究の概要 |
気候変動に伴う豪雨の増加が懸念される中で、降水過程の解明が強く望まれる。降水の開始には氷晶核としてはたらく特別なエアロゾル粒子が深く関与しているが、その理論と観測知見は十分に確立されていない。そこで、本研究では降水に痕跡として残る氷晶核を対象とした新たな観測研究に着手する。酸性雨研究を応用した経時的降水採取やイオン成分分析に、独自の氷晶核計測手法および生物氷晶核として近年重要性が指摘される大気中微生物(バイオエアロゾル)の解析手法を融合させる。これにより、降水過程に寄与した氷晶核の種類・特性を明らかにすることを試みる。
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研究実績の概要 |
雲の形成には、水滴や氷の核となる微粒子(エアロゾル粒子)の存在が不可欠である。なかでも、氷の核となる氷晶核については、鉱物粒子や生物系エアロゾル粒子(微生物など)が主な構成物と言われているものの、その観測知見は未だに乏しい。我々が生活の中で目にする降水の多くは、上空で形成された氷が溶けた「冷たい雨」であると言われ、氷晶核の理解を深めることで、既存の気象予報や気候予測を発展させられる可能性がある。本研究では、降水試料に着目し、そこに痕跡として残る氷晶核を対象とした観測研究を実施する。 昨年度から継続して、埼玉県環境科学国際センター屋上にて、特注採取容器により降水量1 mm、2 mm、3 mmの初期降水試料を採取した。昨年度の課題であった採取容器の改善を実施し、フロートスイッチ付きのプラスチック製容器を新たに製作した。氷晶核は液滴凍結法、主要イオン成分はイオンクロマトグラフィーで分析し、降水粒子の粒径別数密度や降水強度はディスドロメーターで計測した。 初期降水の分析結果から、主要イオン濃度は最初の1 mmで高く、次第に減少する傾向が見られた。一方で、氷晶核数濃度については明確なパターンがなかった。統計解析により、主要イオン濃度と氷晶核数濃度は異なる変動をすることが明らかとなった。一般に、降り始めの雨で濃度が高いイオン成分は雲下での洗浄が働いていると言われているが、氷晶核については雲下での洗浄が働いていないかその寄与が小さいことが示唆された。そこで、より雲との関連を調べるために、氷晶核数濃度と降水粒子の数密度や降水強度との関連性を解析したところ、降水強度と氷晶核数濃度との間にわずかな関連性が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
採取装置の改善やディスドロメーターによる降水粒子計測も問題なく行うことができ、今年度は継続して観測が実施できている。一方で、降水試料に含まれる微生物群の解析までは着手することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
降水試料中の微生物の解析を実施し、研究結果のとりまとめを実施する。具体的には、これまでに得られた観測結果及び今年度新たに得られた観測結果をまとめて解析し、試料を選別した上で微生物群集の解析を実施する。微生物群集のデータが新たに得られることで、降水中の氷晶核、イオン成分、微生物群集構造の3つの要素の関連性が解析可能になる。この結果を取りまとめて学会発表や論文投稿を実施する。
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