研究課題/領域番号 |
22K14107
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17030:地球人間圏科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
羽田 裕貴 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究員 (50884029)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 河川成礫層 / 粘性残留磁化 / 東京低地 / 堆積年代 / 古地磁気 / 岩石磁気 / 年代測定 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の平野地下に分布する河川成礫層は、地層対比の鍵層として、活構造評価や堆積盆の発達復元史に用いられてきた。しかし、河川成礫層自体の堆積年代を決定することは非常に困難であり、それゆえ、その時空間分布が定量的な年代尺度に基づいて議論されることは稀であった。そこで本研究では、これまで巨礫の移動年代決定に用いられてきた磁気分析手法を東京低地地下の最終氷期河川成礫層に適用し、その堆積年代決定手法を確立することを目的とする。さらに、得られた年代値に基づいて河川成礫層の側方対比を行い、礫層分布の時間変化を明らかにする。
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研究実績の概要 |
河川成礫層は、年代決定に有用な微小化石や有機物に乏しく、その堆積年代を直接的に決定することは困難であった。そこで本研究では、河川成礫層について、個々の礫の残留磁化分析による年代決定手法を確立すること、その年代決定手法に基づいて東京低地地下の過去12万年間の地層に挟まる河川成礫層の堆積年代を解明すること、東京低地下の礫層の時空間分布の解明を目的とした。 本研究では、東京低地から掘削された複数のボーリングコア試料で認められる礫層を対象としている。2本のボーリングコア中の沖積基底礫層から様々な種類の礫を採取し、分析用試料とした。二つの安山岩礫から、堆積年代決定に有用な粘性残留磁化と考えられる磁化シグナルを検出した。また、安山岩礫に含まれる磁性鉱物種やその粒径分布、人工磁化の温度ー時間プロファイルを得るための各種岩石磁気実験を実施した。これら実験によって得られたパラメータと東京低地の地下温度から礫の堆積年代を算出したところ、最終氷期最大期に相当する年代値を得ることができた。これは沖積基底礫層の堆積プロセスから推定されるおおよその堆積年代や礫層の上下の泥層から得られている放射性炭素年代と矛盾しない。一方、泥岩礫や珪質岩礫は安定な磁化シグナルを保存していない場合が多い。そのため、本手法には火成岩を用いることが望ましいと考えられる。本成果は、日本地球惑星科学連合2023年大会と国際第四紀学連合2023年大会で発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度の計画では、手法の確立と基準年代尺度の構築が目標であった。しかし、社会情勢の悪化による液体ヘリウムの供給不足により、2022年度後半では残留磁化分析に必須である超伝導岩石磁力計が国内でほとんど稼働を停止した。そのため、年代値を得られた礫試料は少数である。そこで「(3)やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
初年度で目標としていた手法の確立は概ね達成しているが、ボーリングコア試料1本あたりの年代データが不足している。そこで翌年度は沖積基底礫層の礫の年代値の拡充による年代データの再現性の検討と、より古い礫層の年代測定を実施する。これによって本手法で遡れる年代の限界を検討する。さらに、1本から2本のボーリングコア試料で基準年代尺度を構築し、周囲で掘削された別のボーリングコア試料についても分析を進めることで、堆積年代に基づく礫層の側方対比を実施する。
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