研究課題/領域番号 |
22K14112
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
澤井 みち代 千葉大学, 大学院理学研究院, 助教 (20760995)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 沈み込み帯 / 摩擦 / 地震 / 玄武岩 / 摩擦実験 |
研究開始時の研究の概要 |
沈み込み帯での地震活動は、地震波を伴わないゆっくりとしたすべり(スロー地震)から津波を引き起こすような巨大地震まで多種多様であり、それらの発生要因の一つとされているのが断層面における摩擦挙動である。しかし、沈み込む海洋プレートの主要構成物質である玄武岩の摩擦挙動はこれまで明らかにされていない。本研究では、玄武岩が沈み込み、温度・圧力が上昇するに伴って摩擦特性がどのように変化するのかを系統的に調べ、玄武岩の摩擦特性が多様な地震活動の一端を担う可能性を摩擦実験により検証する。
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研究実績の概要 |
沈み込み帯での地震活動は、地震波を伴わないゆっくりとしたすべりから津波を引き起こすような巨大地震まで多種多様であり、それらの発生要因の一つとされているのが断層面における摩擦挙動である。よって、沈み込む海洋プレートの主要構成物質である玄武岩の摩擦挙動について調べることは非常に重要であり、系統的な摩擦データの取得は沈み込み帯での地震活動を理解する上で必要不可欠と言える。そこで本研究では、玄武岩が沈み込み、温度・圧力が上昇するに伴って摩擦特性がどのように変化するのかを系統的に調べ、玄武岩の摩擦特性が多様な地震活動の一端を担う可能性を摩擦実験により検証することとした。 令和5年度は、令和4年度に使用したODP Leg144 Site879にて採取された玄武岩とは鉱物組成の異なるIODP Expedition333 SiteC0012由来の玄武岩2試料を使用し、鉱物組成の違いにより、摩擦特性がどのように変化するのかに注目した。その結果、断層すべりの安定性を示すパラメータ(a-b)値は温度が上昇するに伴って正から負へと変化することが明らかとなった。この傾向は、ODP Leg144 Site879由来玄武岩の結果と調和的であった。しかし、粘土鉱物含有量が多くなるほど(a-b)値は大きな値を示し、安定的な性質を示すことがわかった。つまり、粘土鉱物の量比が増加すると、断層が安定的になる可能性があり、同じ岩石種であっても組成が異なれば、沈み込み帯の地震活動の不均質の要因となる可能性が考えられる。現在、間隙水圧の効果について調べる実験を進め、摩擦挙動に及ぼす影響を検証する準備に取り掛かっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、当初予定していたガス圧式高温高圧三軸試験機を用いた摩擦実験のうち、鉱物組成の異なる3つの玄武岩試料および1つの緑色岩試料について結果が出始めている。特に今年度は、断層すべりの安定性を示すパラメータ(a-b)値に対する温度効果が、鉱物組成の違いの影響を受けるのか、またどのように変化するのかを調べた。試験機トラブルや細部の調整のため、間隙水圧の変化が摩擦特性に及ぼす影響を調べる実験は次年度に実施予定であるが、各試料の摩擦特性に対する温度依存性から、鉱物組成の違いが断層の安定性に影響を与えることが明らかになった。沈み込み帯の地震活動との関連性を考察するため、得られた結果は、随時遠洋性堆積物などの摩擦特性とも比較しながら議論を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も本研究課題を遂行すべく、引き続き摩擦実験を実施する。現時点で3つの玄武岩試料および1つの緑色岩試料について、摩擦特性に対する温度効果を検証する実験を実施しているが、今後は間隙水圧の効果を検討していく予定である。すでに温度依存性に対して鉱物組成の違いが影響を与えることは明らかになったが、圧力依存性に対してどのような影響を及ぼすのかを検証するため、こちらも複数の試料で検証予定である。今年度までに得られた実験試料については組織観察を進めていきたい。
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