研究課題/領域番号 |
22K14113
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 神奈川県温泉地学研究所 |
研究代表者 |
栗原 亮 神奈川県温泉地学研究所, 研究課, 技師 (50880837)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 深部低周波地震 / 火山性地震 / マグマ供給 |
研究開始時の研究の概要 |
このうち地表付近から深さ10kmでは浅部の火山性地震が発生しており、深さ10kmから40 km程度では深部低周波地震と呼ばれる地震が発生している。これらの地震は噴火前に活発化することも多く、マグマの供給と関連すると考えられる。そこで、本研究では深部低周波地震と浅部の火山性地震両方の活動状況を複数の火山地域を対象に従来よりも高精度かつ包括的に検出を行い、その活動の推移や震源分布を明らかにすることで、地下深部から地表火山へのマグマ供給プロセスの全体像を解明することを目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は主に霧島山と箱根山の火山性地震の解析に取り組んだ。 霧島山において、深部低周波地震の解析を実施し、2018年の霧島山新燃岳噴火前後の期間における深部低周波地震の活動を明らかにした。この期間の地震数は2011年噴火時と比べると相当少ないが、一部の群発的な活動が噴火活動と関連していることがわかった。この結果は国内の学会で発表するとともに、国際誌に投稿し掲載された。 また、箱根山において、大涌谷近傍の極浅部で発生する微小な火山性地震の解析に着手した。この地震は通常の地震と比べて、P波とS波の区別が難しい波形特徴を保有している。また震源決定を行ったところ、箱根山では3-5km程度の深さでの地震は多く発生することは知られているが、この地震は地表から0-1kmで発生していた。波形が観察できる観測点が少なく、波形も不鮮明なことから精度は保証できないものの、震源位置は大涌谷の噴気地帯の内部かそのやや西側に決まった。2015年以降の期間で連続データからこの地震を探したところ、2015年では噴火前後の期間に、他の深さの火山性地震と混在して多発しているが、2020年以降では他の火山性地震を伴わず、この浅い地震だけが非常に活発化していることが明らかになった。特に2022年の5月-7月ごろにかけて、この地震の数が非常に多くなっていることがわかった。当期間に他の火山性の変動は観測されていないことから、極浅部の熱水活動による地震であると現時点では推定している。この結果について、国内学会で発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
霧島山で実施していた深部低周波地震の解析が概ね完結し、2018年噴火前後では、2011年噴火時と比べて、発生数は少ないものの、地表火山活動と対応があることを明らかにすることができた。また、箱根山では当初想定していなかった極浅部の地震を発見し、その震源位置の推定や2015年噴火以降の長期的な活動推移を明らかにすることに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、関東地方周辺の火山を主な対象として、浅部から深部に至る火山性地震の長期的な活動推移の解析に取り組む。 特にメカニズムが判明していない、箱根山の極浅部の地震についての解析を進める。また、全国の他の火山で類似の極浅部での地震が発生しているか調べる。 また、近年機械学習の地震学への応用が進みつつあり、特に大量の地震の検出においては有効なため、微小な火山性地震の検出・震源決定への適用についても本課題で試験・検討する。
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