研究課題/領域番号 |
22K14117
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
谷内 元 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究員 (00913956)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 火山 / 初生マグマ / 岩石学 / 地球化学 / 利尻 |
研究開始時の研究の概要 |
沈み込み帯火山は、活動開始より数万年から数十万年経過するとその寿命を迎え、活動を終える。活動の終焉は全ての火山が共通して迎える現象であるにも関わらず、そこに至るプロセス、つまり「火山活動の終わり方」は未解明である。本研究では利尻火山の活動末期噴出物から初生マグマ生成条件(温度・圧力・マントル含水量)を抽出し、その2万年間に渡る時間変遷を追跡することで、火山活動が終了するに至るプロセスを実証的に解明する。
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研究実績の概要 |
本研究は、北海道北部に位置する利尻火山の活動末期噴出物から、主に岩石学的手法を用いて初生マグマが生成する条件を抽出し、その時間変遷を追跡することで、火山活動が終了するに至るプロセスを実証的に解明することを目的として実施されている。2023年度はその第2年目にあたる。2023年度は前年度に引き続き、利尻火山の活動末期の噴出物の層序の確立と分析用の試料採取を行うために、野外調査を実施したほか、前年度までに採取した分も含めて、岩石試料の全岩化学組成を分析した。 前年度から引き続き実施した野外調査によって、利尻火山の活動末期の玄武岩質噴出物について、年代測定と化学分析用の試料の採取を完了した。特に、前年度に完了できなかった、アクセスの悪い山中に露出する試料も採取できた。また、層序の確立といった側面では、利尻火山の南麓に位置する野中地域およびオタトマリ沼北側地域で、北海道大学と共同でトレンチ掘削を行い、これまで知られていなかった新しい時代の活動を確認した。採取した試料は、産業技術総合研究所で粉末化したのちに、北海道大学にてガラスビードを作成し、全岩化学組成(主要元素および微量元素)を測定した。 また、これまでの研究で、利尻火山におけるマグマの生成を考慮する上ではスラブ由来超臨界流体の水流体とメルトへの分離を考慮する必要があることが指摘されているが、その超臨界流体が2相に分離する際の分配係数を、利尻火山の岩石試料を出発物質として用いて決定した高圧高温実験の結果が Contributions to Mineralogy and Petrology 誌に受理された。このことにより次年度以降、初生マグマの生成プロセスをより詳細に考察できるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第2年度の目標としていた試料の採取と化学分析を概ね予定通りに遂行することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は上半期中にICP-MSを用いた微量元素の分析およびMC-ICP-MSを用いた放射性同位体比の分析を完了する。下半期には得られたデータを解析する。
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