研究課題/領域番号 |
22K14123
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
福山 鴻 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 特別研究員 (70931319)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ”missing” nitrogen / 下部マントル / bridgmanite / ferropericlase / 二次イオン質量分析法 / 超高圧高温実験 |
研究開始時の研究の概要 |
地球における窒素の循環や存在量に関する研究は、その地球化学的重要性から表層において様々な分野における研究が少なくとも40年以上前から国内外で数多く進められてきた (e.g., Wada et al., 1980; Johnson and Goldblatt, 2015; Kuypers et al., 2018)。しかしながら、これらの研究に対し地球内部における窒素の振る舞いは十分に理解されていない。本研究によって下部マントル (深さ:~2900 km、圧力:~135 GPa)の深さに応じた窒素貯蔵力が明らかとなり、地球表層に限定的であった窒素の理解が地球全体規模へと広がることが期待される。
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研究実績の概要 |
窒素は地球大気の主成分であるものの、地球全体でみると相対的に枯渇している元素である (e.g., Marty et al., 2012)。この原因の一つとして、現在も地球深部に存在する鉱物に窒素が取り残されている可能性が提案されている。下部マントル(深さ66O km~)で最も多く存在するbridgmaniteの窒素溶解度に関しては近年複数報告があるものの(Yoshioka et al., 2018; Fukuyama et al., 2023)、下部マントルで2番目に多く存在するferripericlaseに関しては未だ報告がない。加えて、研究代表者の予備実験から最大で約130 ppm含まれることが分かっており、地球深部の窒素最大貯蔵量を大きく更新し得る鉱物であることが分かりつつある。 上記のような背景から、本年度はferropericlaseの窒素溶解度に関する実験準備と後述するように実験を数多く行った。実験準備を進めていく中で、MgOと硝酸アンモニウムを混合して出発物質を作成すると、MgOと潮解性を持つ硝酸アンモニウムが反応することが分かった (Mg(OH)2+2NH4NO3→Mg(NO3)2+2NH3+H2O, Rodriguez and Zea (2015))。そこで、このような反応を防ぐため、内径1.1mmの試料カプセルにMgOと硝酸アンモニウムを仕切る金箔仕込んだ新たな試料構成を考案し、実験を進めた。 結果として、元々技術的に難しい実験にさらに手間を加えることになり、試行錯誤を重ねることになった。しかしながら、2022年の6月下旬から博士学生として共同利用していた時期の4倍以上のペースで実験を行い、大気海洋研究所でのNanoSIMS分析に必要な試料が揃いつつある。 他に、博士課程から取り組んでいたbridgmaniteの窒素溶解度に関する研究が、無事昨年度の3月にScientific Reportsに掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
セル構成を新たに開発することになり、実験を成功させるために数多く試行錯誤を繰り返すことになった。しかしながら、地球深部ダイナミクス研究センターに設置された高性能なマルチアンビル高圧発生装置を最大限に使用した結果、実験回数を大幅に増やすことができ、多くの失敗を重ねながらも、SIMS分析に必要な試料の合成が完了しつつあるため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き高温高圧実験に取り組むとともに、大気海洋研究所でのNanoSIMS分析による窒素定量分析を行う。定量分析するにあたって、標準試料となる打ち込み試料も同時進行で作成する。 他に、NanoSIMSだけでなく鉱物中の窒素の存在状態を決定するためにラマン分析や必要に応じて赤外分光分析を行う予定である。
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