研究課題/領域番号 |
22K14124
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉村 由多加 九州大学, 比較社会文化研究院, 学術研究員 (90911496)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 古地磁気強度 / 斜長石単結晶 / 地磁気逆転頻度 / 核・マントル境界 / 絶対古地磁気強度 |
研究開始時の研究の概要 |
地磁気の逆転頻度は核マントル境界の熱流量変動を反映しているため地球内部の熱進化のトレーサーとなる。一方、1.6億年以前の逆転頻度は分かっていない。古地磁気強度と逆転頻度が相関すれば、逆転頻度が不明な時代の核マントル境界の熱流量変動を古地磁気強度から追跡できる。先行研究では古地磁気強度と逆転頻度の逆相関が示された。しかし、先行研究の測定溶岩枚数は少ないために古地磁気強度の時間平均が不完全で、その逆相関は偽の相関である可能性がある。そこで本研究では、逆転頻度が大きく異なる2つの時代の溶岩中の巨大な斜長石を用いて高精度かつ大量に古地磁気強度を測定することで、古地磁気強度と逆転頻度の真の関係を探る。
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研究実績の概要 |
地磁気強度は数万から数十万年の時間スケールで大きく変動をする。そのため、古地磁気強度の平均値を得るには、多数の信頼性の高い古地磁気強度を測定し、平均化しなければならない。その信頼性の高い古地磁気強度を与えてくれると考えられるのが、巨大な斜長石単結晶である。
巨大な斜長石単結晶を含むエチオピア洪水玄武岩において、チタン濃度の低い溶岩グループはこれまで形成年代が曖昧であった。形成年代が完全に決定されていないということは、測定される古地磁気強度の時間軸に不確定性を残すことを意味するため、問題である。本研究では、低チタン溶岩グループに属し、エチオピア洪水玄武岩における溶岩が多数累重した約2 kmの厚さを持つ露頭であるLima-Limoセクションの溶岩流を用いて高精度な40Ar/39Ar年代測定を行った。その結果、2枚の溶岩流から高精度で信頼性の高い40Ar/39Ar年代が得られた。その新しい年代と先行研究の年代から噴出年代-標高モデルを作成し、Lima-Limoセクションの溶岩流の活動年代決定を行ったところ、地磁気極性タイムスケールにおけるC12r-C12n-C11rにわたって噴出したことが判明した(Yoshimura et al., 2023, Geophys. Res. Lett. 50(8), e2022GL102560)。
また、中央インド洋海嶺では複数のサイトで中央海嶺玄武岩(MORB)が「しんかい6500」によって採取されており、一部のサイトから採取された溶岩は巨大斜長石単結晶を含んでいる。本研究ではまず、斜長石単結晶を含まないMORBを用いて岩石磁気測定および古地磁気強度測定を行った。その結果、MORBは古地磁気強度に適したサイズの磁性鉱物を含むことがわかった。また、国際標準地球磁場モデルで予測される現在の地磁気強度の0.7-0.8倍の古地磁気強度が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
日本におけるヘリウム供給不足に伴い、九州大学に設置されている超伝導量子干渉磁力計(SQUID磁力計)が現在運用を停止しており、巨大斜長石単結晶を用いた古地磁気強度測定が全く実施できていないため。
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今後の研究の推進方策 |
現時点ではヘリウム入手の目処が立っていないが、近い将来ヘリウムを入手することができ、SQUID磁力計の運用が再開され次第、順次巨大斜長石単結晶を用いた古地磁気強度測定を行う。それまでは本研究課題を補強する研究を引き続き行う予定である。
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