研究課題/領域番号 |
22K14129
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
羽地 俊樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究員 (10878226)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | テクトニクス / 背弧拡大 / 日本海形成 / 西南日本弧 / 造構応力 / 岩脈 / 小断層 |
研究開始時の研究の概要 |
我が国の現在のテクトニックセッティングの骨組みは,中新世に起こった背弧拡大など種々の大規模イベントで形作られたとされる.しかし,それらの進行史には統一見解がなく,多様なモデルが乱立した状況にある.研究代表者は予察的研究で,西南日本の中新世応力史を弧内一様とした従来の描像を覆し,それは弧内差のある複雑なものであったことを示した.応力史の時空間的分布は,テクトニックモデルの重要な制約条件となると見込まれる.そこで本プロジェクトでは,西南日本各地で中新世の古応力を再検討して時間的・空間的高分解能の新しい応力史の描像を提示するとともに,古応力の観点から最も妥当なテクトニックモデルを選定する.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,西南日本の各地において主に中新統を対象に地質調査を行い,小構造から応力史の検討を行うことである.本年度は,鳥取地域・土佐清水地域を対象に調査研究を行った.また,本年度の土佐清水地域の研究成果と昨年度の伊野地域の研究成果を学会で発表した. 鳥取地域は,西南日本の背弧域において最もよく中新世の応力史の検討が進められている地域の1つである.今後のさらなる詳細な応力史の検討のため,同地域では昨年に引き続き地質調査・年代測定・応力解析を行った.その結果,背弧盆地の内部における応力状態の空間的一様性を確かめられた.また,鳥取地域における岩相層序と堆積年代についての新知見を得て,今後の古応力の検討のための下敷きとなる層序の構築を行うことができた.これらの成果を,地質学雑誌およびIsland Arc誌で公表した. 土佐清水地域は,昨年の予察的調査で中新統三崎層群に小断層が多数確認され,中新世の応力が記録されていることが期待される地域であった.そこで本年度は,三崎層群の小断層の精密調査を行い,応力史の構築を試みた.小断層の産状・断層と周辺の地質構造との関係・断層同士の切断関係・断層と地層の姿勢の対応関係などから,同層群に認められる断層は2つのグループに区分できる可能性が示された.そして,それらは堆積時の正断層型応力とそれ以降の三崎層群の地質図規模の褶曲形成時の逆断層型応力に対応する公算が大きい. この土佐清水地域における成果と昨年度の伊野地域の岩脈を用いた古応力の研究成果を地質学会学術大会において発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中新世の応力史の制約に資する地質情報を収集することができた.古応力や年代について十分なデータが得られた成果は,順調に公表が進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
伊野地域および土佐清水地域の研究成果について,論文化を目指す. 背弧域の応力状態の鍵を握る鳥取地域の精密応力史の構築のための調査研究を継続して実施する. 応力状態の空間的広がりを調べるため,島根地域・小豆島・大阪東部地域などにおいて古応力研究の実施のための予察的調査を行う.
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