研究課題/領域番号 |
22K14133
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17050:地球生命科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田中 康平 筑波大学, 生命環境系, 助教 (50841970)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 恐竜類 / 獣脚類 / 後期白亜紀 / 古生態 / ティラノサウロイディア類 / 進化 / 白亜紀 |
研究開始時の研究の概要 |
白亜紀末の北半球では,なぜ他の獣脚類恐竜を退けてティラノサウロイディア類が陸上捕食者の頂点に立てたのか.本研究では,これまで見過ごされてきた標本・地域に焦点を当て,白亜紀の肉食性獣脚類化石を精査する.体サイズを推定する新手法を開発することで,たとえ断片的な化石試料からでも体重,ひいては生態的地位を推測可能にし,ティラノサウロイディア類がいつ頃,どのようにして生態系の頂点に立ったのかを解明する.
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研究実績の概要 |
白亜紀末期に繁栄したティラノサウロイディア類は,他の獣脚類とのニッチ競争の末に頂点捕食者となった.白亜紀後期の前半にカルカロドントサウルス類やドロマエオサウルス科が競合する中で,いつ頃かれらは巨大化し,生態系のトップになり得たのか.本研究では,白亜紀後期の北半球における獣脚類のニッチ競争に着目し,ティラノサウロイディア類が巨大化したタイミングを調査している.まずは白亜紀後期の前半期に焦点を当て,①チュロニアン期の陸成層で野外調査を行っている.獣脚類恐竜の化石試料の採集・記載を行い,当時の生態系の復元を試みている.また,②白亜紀末期のティラノサウルス科の標本を用いて成長に伴うニッチ変化についても調査している.さらに,③断片的な化石試料からでもティラノサウロイディア類の体サイズの変化を読み取ることができるよう,新たな体サイズ推定の指標を検討している.各時代のティラノサウロイディア類標本のデータ収集を行い,体サイズの進化を議論する. 2023年度は主に野外調査及び博物館資料のデータ収集に努めた.①に関してはウズベキスタン共和国中央部に露出する後期白亜紀チュロニアン期ビセクティ層等で化石採集を行った.その結果,良質な化石産地をいくつか見出すことができ,合計1000点を超える試料を採集した.標本の中には獣脚類の歯・骨化石が多数含まれている.採集した標本はレーザースキャンによってデジタル化し,現在精密な調査を行っている.②に関しては,ティラノサウルス科の幼体で胃の内容物が残る骨格化石を発見し,幼体と成体で獲物の種類が異なっていたことを直接的な証拠をもって世界で初めて提示した.本成果は,国際誌に掲載された.③に関しては,主にカナダに収蔵されているティラノサウルス科の頭骨標本の観察・計測・分析を行った.体サイズと各部位の相関関係から,断片的な化石試料でも体サイズの推定が可能になりつつある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は野外調査を通して多数の化石試料を収集できた.特に,ウズベキスタン共和国で獣脚類の化石試料が豊富に含まれる新たな化石産地を発見したことは意義深い.これらはチュロニアン期の獣脚類の生態系を探る重要な試料となり得る.また,博物館標本の観察を行い,研究の基盤となる有益なデータを構築することができた.今後詳細な解析を行う予定である.さらに,ティラノサウルス科の幼体の食性とニッチに関する研究成果をまとめ,国際誌(Science Advances)に報告した.以上により,研究は順調に推移していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,北半球の陸成層で野外調査を行い,化石試料の収集に努め,当時の生態系復元を追求する.また,博物館標本のデータ収集も同時に行う.さらに,これまでに得られたデータが順調に蓄積されつつあるため,データ解析も並行して行っていく予定である.得られた成果は順次発表する.
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