研究課題/領域番号 |
22K14140
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
三好 英輔 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70880962)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 材料微視組織 / 再結晶 / 粒成長 / 粒界 / フェーズフィールド法 / 分子動力学 / データ同化 / HPC / 組織制御 / 分子動力学法 / データ科学 |
研究開始時の研究の概要 |
焼鈍を利用した多結晶材料のメゾスケール組織の制御技術,とりわけ粒界性格分布の制御技術(粒界工学)は,合金化に頼らない高性能材料の開発において極めて重要な役割を有する.しかしながら,粒界性格分布の予測において不可欠な「粒界物性の異方性」,「焼鈍双晶形成」の表現を完備したメゾスケールモデルは未だ存在しない.本研究では,データ科学の援用により,原子スケールの分子動力学解析を上位スケールのフェーズフィールド法解析へと定量的に融合させることで,物性異方性と新規結晶の核形成を正確に反映したメゾスケール焼鈍組織予測を初めて可能とし,粒界工学の高度化に向けた新技術の提示を図る.
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研究実績の概要 |
材料特性の巨視的特性を向上させるためには,メゾスケールの材料組織の適切な設計が鍵となる.特に,焼鈍過程における再結晶・粒成長現象を通じた粒界性格分布の制御,すなわち粒界工学の技術は,合金化に頼らない省資源・省エネルギー材料開発において極めて重要な役割を有する.粒界工学に基づく材料開発を加速させる上では,数値解析による系統的な組織予測が有望である.しかしながら,粒界性格分布の予測において不可欠な「粒界物性の異方性」と「焼鈍双晶形成」の表現を完備したメゾスケールモデルは未だ存在せず,数値解析の実応用は停滞している.本研究は,データ科学の援用により,原子スケールの分子動力学(MD)解析を上位スケールのフェーズフィールド(PF)法解析へと定量的に融合させることで,物性異方性と新規結晶の核形成を正確に反映したメゾスケール焼鈍組織予測を初めて可能とし,粒界工学の高度化に向けた新技術の提示を図るものである.本年度は,粒界物性の異方性の評価・取得手法の確立に注力し,下記の成果を得た. まず,粒界異方性を考慮したPFモデルに対し,アンサンブルカルマンフィルタによるデータ同化を介してMD粒界移動シミュレーションを統合することで,PFモデルに含まれる未知パラメータ(各粒界面方位に対する粒界エネルギー)を同定する異方性物性取得法を開発した.これにより,粒界面方位に応じた粒界エネルギー変化を,一度の計算でさまざまな面方位に対して一挙に評価することが可能となった. 次いで,複数の粒界の交わる粒界多重点の特性(有限易動度)を考慮できるようPFモデルに改良を加え,有限易動度を表現するパラメータをデータ同化により同定することで,多重点の特性を評価可能とする手法を構築した.多重点の易動度は,組織予測において重要でありながら実験測定が極めて難しい物性値であり,本実績は材料工学・科学双方の観点から大きな意義を有する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最終目標である「粒界物性の異方性」と「焼鈍双晶形成」を兼備した組織予測モデルの開発に向けて,まずは前半の課題である物性異方性の取得法確立を予定通り達成できた.また,得られた成果の対外発表も計画的に行い,国内外の学会発表5件,国際誌Journal of Materials Science (IF = 4.682) での論文掲載1編など,継続的に発信できている.加えて,粒界物性の面方位依存性評価に関する論文も現在執筆を進めており,近日中に投稿予定である.これらの点から,研究の進展状況はおおむね順調であると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
本年度に構築したMDとPF法とのデータ同化枠組に基づき,組織予測に必要な粒界物性(エネルギー・易動度)異方性をさまざまな構造の粒界/多重点に対して系統的に取得し,それらのデータをPFシミュレーションに導入する.この作業は,東京工業大学のGPUスパコンTSUBAME3.0を利用して大規模並列実行し,膨大な種類の粒界に対する効率的な物性取得を可能とする.また,焼鈍双晶形成の現象論的モデルをPFシミュレーションに組み込み,計算結果が実験データと整合するよう,機械学習やデータ同化を通じてモデル中のパラメータを校正することで, PF法の枠組における焼鈍双晶核形成の表現を達成する.
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