研究課題/領域番号 |
22K14142
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松原 成志朗 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (40823638)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | ソフトマテリアル / 表面不安定 / 溶媒拡散・変形連成解析 / 増分ポテンシャル法 / Isogeometric解析 / 非圧縮固体 / 軟質材料 / 分岐座屈解析 / 計算均質化法 / 複合板 / 分岐座屈 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,動植物の生体器官で観察される軟質な微細組織が面的に広がる複合板・シェル構造について,ミクロ構造単位の3次元大変形挙動とマクロ板・シェル構造の大変形板特性の評価が可能な大変形計算均質化法を確立し,関連するIsogeometric解析手法やデータ駆動型解析手法を開発して力学挙動の高精度かつ効率的な数値的予測評価が可能なマルチスケール解析手法を確立する.そして,本手法を生体器官の分岐座屈問題に展開することで,それらの固体力学的な形態形成機構を解明する.
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研究実績の概要 |
今年度は,ソフトマテリアルの力学挙動に重点を置いた研究を遂行した.具体的には,(a)ソフトマテリアルのクリース生成に関する計算力学手法の構築と機構解明,および(b)水分の浸潤・拡散を考慮したハイドロゲルの動的膨潤解析と分子鎖の伸び切り効果による影響調査に取り組んだ.(a)では,古典的な分岐座屈理論では捉えることのできない,表面に鋭い溝を形成するクリースパターンについて,そのスケールフリー性によるメッシュ依存性の障壁を回避しながら発生条件を特定する方法論を提案した.また,クリースの生成に強く影響する固体と外界の界面に働く表面張力を慣例的なクリース解析の結果から後天的に評価する手法を構築した.以上の手法を用いて,非圧縮neo-Hookean弾性体の一般的な負荷条件下におけるクリースの発生条件を評価し,クリース生成面に直交する方向の変形に左右されてクリースの発生条件が変化することを示した.以上の成果は,固体力学で由緒ある国際誌に掲載されている.(b)では,ソフトマテリアルの代表格であるハイドロゲルについて,水分の浸潤・拡散現象を支配する拡散方程式と膨潤挙動を支配する力のつり合い式を単位時間あたりのエネルギーポテンシャル速度の形式で統一的に記述し,変分理論に整合した連成解析モデルを作成した.加えて,Hu-Washizuの変分原理を導入し,圧力変数を未知量に加えることでハイドロゲルの非圧縮性を考慮した.前年度に開発した再分割安定化法に基づくIsogeometric解析手法と組み合わせることで,ハイドロゲルの溶媒拡散・変形連成挙動を正しく評価することができた.以上の手法を用いて,ハイドロゲルを構成する分子鎖の伸び切り効果が連成挙動に与える影響を調査し,伸び切りによるひずみ硬化の強さに応じて拡散挙動が高速化されることを示した.得られた成果は,今年度に論文として国際誌に投稿する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Isogeometric解析手法の整備とソフトマテリアルの力学挙動の評価については,当初の目的に近いところまで進めることができたが,板・シェル均質化法については未だ試行錯誤の段階であるため,若干,進捗は遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,板・シェル均質化法の整備に集中する.基盤となる計算プログラムは完成しているので,トライアンドエラーを繰り返すことで本手法の完成に尽力する.その際,マルチスケール解析の専門家と定期的にディスカッションを行って手法の改善点を適宜,洗い出し,進捗を最適化する.
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