研究課題/領域番号 |
22K14145
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
竹田 宏典 神戸大学, 工学研究科, 特命助教(PD) (30931787)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 消化器 / 蠕動運動 / 弾塑性変形 / ストークス流れ / アイソジオメトリック境界要素法 / 流体ー構造連成解析 / 計算力学 / バイオメカニクス / 筋収縮 / 食物輸送 / フィードバック機構 / アイソジオメトリック解析 / 境界要素法 / 連続体力学 / 流体構造連成問題 / 筋組織 |
研究開始時の研究の概要 |
食道や胃、腸などの消化管は、能動的に力を発揮する筋組織と、力学的な場の情報を感知する粘膜組織、そして、各組織を制御する神経ネットワークから成る複合組織である。本研究では、消化管組織に生じた力学場の情報が、筋組織の振る舞いへとフィードバックされることに着目し、食物の輸送や撹拌といった消化管の機能的な運動において、力学場の情報のフィードバックが果たす役割を解明することを目的とする。そこで、筋組織の収縮と弛緩にともなう消化管の運動と、組織の生じた力学場の情報が、筋組織の収縮と弛緩の振る舞いにフィードバックされる機構を考慮した連続体力学に基づく数理モデリングとシミュレーションを行う。
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研究実績の概要 |
消化器は、粘膜組織と筋組織、そして神経叢から成る複合組織である。本研究では、消化器の形態と構造から、どのようにして食物を輸送するための機能的な運動が生じるのかを明らかにすることを目的とする。2023年度は、まず、連続体力学に基づいて、消化管の変形と内容物の流動を数理モデル化した。消化管組織の材料的な性質は、超弾性体の構成則を用いて表現した。そして、消化管の能動的な収縮を塑性変形として表現することにより、弾塑性変形理論に基づいて消化管組織の変形を数理的に記述した。内容物の流動は、ニュートン流体のストークス流れとモデル化し、境界積分方程式により記述した。さらに、消化管の形状表現にB-spline関数を用いて、境界要素法を適用することにより、消化管の変形と内容物の流動の相互作用を考慮した流体―構造連成解析のためのアイソジオメトリック解析手法を構築した。 消化管の運動によって内容物がどのように流動するのか明らかにするため、上記の手法を用いて、消化管の蠕動運動によって生じる管内流れの数値シミュレーションを行った。消化管の参照配置は直円管とし、収縮を管軸方向に伝播させることにより蠕動運動をモデル化した。弾性を有する管が蠕動運動すると、内容物の粘性の影響を受けて、収縮波の進行方向に対して収縮部が非対称な形状に変形することを見出し、その力学的な仕組みを明らかにした。また、収縮波の波長と収縮度合いを変化させて数値シミュレーションを行い、管内に生じる流れと蠕動運動の関係を明らかにした。本年度の取り組みは、非線形な弾性を有し収縮する消化管と内容物の相互作用を理解するための数値計算手法の構築と、その手法の有用性を示した点で重要な成果であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、消化管の蠕動運動により生じる内容物の流動現象に対して、前年度に構築した流体―構造連成解析手法を適用し、その力学的な仕組みについての研究を行った。消化管組織の数理モデル化に関して、厚み方向のひずみ・応力分布を考慮するため、現在用いているShell要素から、当初予定していたSolid要素への変更に着手した。それと同時に、蠕動運動する弾性管が粘性流体と相互作用することによって管が特徴的な形状へ変形する点について、数理モデルの厚み方向の取り扱いは定性的に影響しないと考え、現在のモデルを用いて研究を進めた。その結果として、蠕動運動する弾性管の変形と、管内の流れについての知見が得られた。以上より、本研究課題は、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、消化管の蠕動運動による内容物の輸送現象を対象として、その輸送に対する運動の効率性の観点から、消化管がどのようにして輸送機能を果たすのかを明らかにしていく。まず、実際の消化管の性質を数理モデルに組み込むため、厚み方向のひずみ・応力分布を考慮した数理モデル化と、そのモデルに適合した計算手法の開発を進める。そして、開発した手法を用いて数値シミュレーションを行い、運動する消化管組織に生じる力学場と、消化管との相互作用によって生じる管内の流れを明らかにする。さらに、力学場の情報が運動へとフィードバックされる機構をモデルに組み込み、消化管が有する内容物輸送の機能における力学場の役割を明らかにする。
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