研究課題/領域番号 |
22K14147
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山本 剛大 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (00802860)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | シェル要素 / 板成形 / 非線形有限要素法 / 弾塑性解析 / 大変形問題 / 有限要素法 / 弾塑性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では,板曲げ加工の生産性向上を支援するための数値解析技術として,板曲げ加工シミュレーションの基盤となる高精度・低コストな板曲げ加工モデルを構築する.そのために,計算時間に対する優位性を損なわずにシェル要素を高精度化する.新しく開発した厚肉シェル要素を板曲げ加工モデルに適用し,実験結果等と比較することでモデル化の妥当性確認を行い,提案する板曲げ加工モデルの適用範囲と計算精度を明らかにする.
|
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は,板曲げ加工の生産性向上を支援するための数値解析技術として,板曲げ加工シミュレーションの基盤となる高精度・低コストな板曲げ加工モデルの構築である. 本研究課題では,計算時間に対する優位性を損なわずにシェル要素を高精度化する.シェル理論では考慮できない局所的な挙動を評価する解析手法を活用し,その手法を厚肉シェル要素と組み合わせることにより,従来のシェル要素と同等の計算コストである厚肉シェル要素の改良を行った.また,実験から得られる応力ひずみ線図を基に材料モデルを選定し,各パラメータを同定した.その材料モデルを厚肉シェル要素に組み込むことで,実験結果に基づいた板材のモデル化が可能となった.さらに,厚肉シェル要素による離散化を基本として,力学的な仮定を排除した数値計算モデルの構築方法を策定した. 板曲げ加工モデルの構築において,板材表面に作用する力のモデル化も重要となる.特に,被加工材の変形に追随する力を数値計算モデルに組み込むためには,変形後の表面に対する法線の向きを基準として,板材に作用する外力を評価点ごとに垂直成分と接線成分に分解して取り扱う必要がある.これに対して,令和4年度に改良した厚肉シェル要素では,要素ごとに外力による仮想仕事式を定義し,厚肉シェル要素の各節点に作用する外力として処理する定式化を行った.ここでの定式化では,板材表面に作用する外力を要素ごとに一様であると近似することで,数値計算の不安定性を回避した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では,1.実験結果に基づいた板材モデルの構築,2.局所的な変形を考慮できる厚肉シェル要素の開発,3.新しい厚肉シェル要素を導入する板曲げ加工モデルの妥当性検証の3つの技術的課題を設定し,研究を進めている. 課題1に関しては,板材モデルに適用する金属材料のモデル化を基礎とするが,異方性を考慮した構成則は実験から得られる応力ひずみ線図を表現するためのパラメータ数が大幅に増加する.そのため,応力ひずみ線図の特徴を十分に表現可能な材料モデルとして,等方性材料での検討を進めている.その検討をふまえて,実験から得られた応力ひずみ線図に対する各パラメータの同定を行っている.今後は同定したパラメータに基づく材料モデルを数値計算に組み込み,そのモデル化の妥当性を実験結果と比較して検証していく予定である.全体としてはおおむね順調な進捗といえる. 課題2に対しては,局所的な変形を評価するための解析手法の基礎的な技術を令和4年度に確立した.その技術を厚肉シェル要素に組み込む手法と手順の検討を進めている.この技術課題についても当初計画の予定どおりであり,おおむね順調な進捗といえる. 一方,課題3については,令和4年度での研究課題の成果を基に引き続き研究を進めた上で実施することを想定している.新しい厚肉シェル要素に対する要素の特性を把握しつつ,基礎的な検証を進めている段階である.そのため,現在は予備的な検討にとどまっているが,おおむね順調な進捗といえる. 以上から,本研究課題全体に対する総合的な進捗の評価としては,現在までおおむね順調に進展していると判断している.
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題の目的である高精度・低コストな板曲げ加工モデルの構築とそのシミュレーション技術の開発に向けて,進捗状況で示した3つの研究課題に対して令和5年度の推進方策を考える. 課題1については,同定したパラメータに基づく材料モデルを厚肉シェル要素に実装し,実験結果に基づいた板材モデルの構築を進める.それと並行して,実験と同等の数値計算モデルを構築し,板材モデルに適用する材料モデルの妥当性を検証する. 課題2については,局所的な挙動を評価する解析手法を厚肉シェル要素に組み込み,厚肉シェル要素の高精度化を目的とした研究を進める. 課題3については,新しい厚肉シェル要素を板曲げ加工モデルに適用し,その数値シミュレーション技術を構築する.厚肉シェル要素を導入する板曲げ加工モデルの妥当性を検証するために,数値シミュレーションの解析結果と実験結果等を比較する.検証結果を基に厚肉シェル要素による数値シミュレーションの有用性を定量的に評価する.
|