研究課題/領域番号 |
22K14158
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分18020:加工学および生産工学関連
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
中澤 謙太 静岡大学, 工学部, 助教 (50824520)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 微細加工 / 大気圧プラズマ / MEMS / インプロセス計測 |
研究開始時の研究の概要 |
大気圧プラズマジェット微細加工は加工再現性が低いといった課題がある.より加工自由度の高い5軸加工を実現するためには,制御された加工速度による高い加工再現性を有することが必須である.本研究では,大気圧プラズマジェットの加工速度をインプロセスで制御することで加工再現性を高める手法を確立し,それを基盤とした5軸加工法を開発することを目的とする.プラズマ発光分光法で活性種の生成量を計測・制御することで大気圧プラズマジェット加工の加工再現性を向上させる.開発した加工法をMEMSの製作に応用し,従来実現できなかった軽量・高剛性な構造の製作を可能にし,MEMSの高速化や広範囲化等の性能向上を実現する.
|
研究実績の概要 |
2023年度は開発した大気圧プラズマジェット加工装置を用いて,シリコン基板とポリマー基板の3次元微細加工を実施した.3次元微細加工のために必要な走査経路を生成するソフトウェアを開発した.応用を見据えて,CADや市販のシミュレーションソフトを用いて設計した形状データから,走査経路を生成することができる仕様とした.走査経路はレイヤーバイレイヤー走査と滞在時間変調走査の2方式とした.前者は一定の走査速度で平面方向をラスター走査し,次の層を同様に加工することで3次元形状に加工するものであり,複雑で深い構造を作製することに優位点がある.後者は変調速度を増減させることで加工深さを変化させることで3次元形状に加工するものであり,滑らかな浅い形状を製作することに優位点がある.レイヤーバイレイヤー走査法を用いてシリコン基板上に直径が0.6 mm,高さが60 umの円錐を作製し,白色干渉法を用いて加工した形状を測定した.微細光学素子の形状を作製することに成功し,MEMSと光学素子との集積化に繋げることが期待できる.また,MEMSへの応用を見据えて,アスペクト比の高い形状を形成する手法について研究した.大気圧プラズマジェットはラジカルによって加工が進行するため,等方性にエッチングされる.それに対し,大気圧プラズマジェットの位置決めとエッチングのサイクルを繰り返すことで疑似異方性エッチングを実現した.また,当該研究成果を精密工学分野における国際会議ASPEN2023にて発表し,受賞した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的はインプロセス制御した大気圧プラズマジェット微細加工法の確立とMEMSへの応用することである.2022年度においてはエッチングプロセス中にインプロセスで計測し,加工精度を向上させる手法を確立した.2023年度は,本微細加工法をMEMSへ応用するための基盤技術について研究を行った.特に,MEMSで構造材として用いられる単結晶シリコン基板に対し,3次元微細構造を作製できた点が重要な進展である.なお,2023年度開始時の計画に含まれていた発光分光分析器を用いたインプロセス制御においては引き続き研究を遂行することとする.これらの理由によりおおむね目的通り順調に研究を進展させることができたと考えている.
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は大気圧プラズマジェット微細加工法をMEMSの製作に応用するための基盤技術について研究し,シリコン基板上に3次元微細構造を製作可能であることを示した.しかし,現状では目標の加工形状と加工した形状との差が生じている点が課題として残る.そこで今後の研究の推進方策としては,3次元加工形状の高精度化を目標とする.まず目標形状との差異が生じる原因について,開発済みの発光分光分析器等を用いて調査する.さらに,現在は円錐といったシンプルな形状の製作を実証できたが,今後はMEMSと光学素子の集積化を見据えてZernike多項式の高次の項を含む,より複雑な形状をシリコン基板上に製作することを目標とする.なお,2023年度開始時の計画に含まれていた発光分光分析器を用いたインプロセス制御においては引き続き研究を続継続することとする.
|