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ハイドロゲルの摩耗機構解明~低摩耗な生体代替素材の創製に向けて

研究課題

研究課題/領域番号 22K14170
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分18040:機械要素およびトライボロジー関連
研究機関九州大学

研究代表者

八島 慎太郎  九州大学, 理学研究院, 助教 (40768842)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
キーワードハイドロゲル / 摩耗 / 摩擦 / ポリビニルアルコール / 関節軟骨 / 全有機炭素測定 / 紫外分光法 / 全有機炭素 / 表面パターニング
研究開始時の研究の概要

ハイドロゲルは優れた生体適合性を有し、生体代替素材として関節軟骨などの滑り運動を伴う部位への応用が期待される。滑りに伴って、摩耗という物質の損失が必然的に生じるが、ゲルが容易に空気中で乾燥、あるいは水中で膨潤してしまうことから、顕微鏡による表面観察など従来の手法では精確な摩耗評価は困難である。
そこで、本研究ではゲル本体だけでなく摩擦運動後の潤滑液を評価の対象とし、定量性と高感度を備えた新たなゲル摩耗測定法を構築する。これまでにほとんど着手されていないゲルの摩耗機構を明らかにし、最終的にはゲルを用いた人工関節軟骨の新たな低摩耗化手法を提案する。

研究実績の概要

ハイドロゲルは一般的に柔軟で高含水率であり、優れた低摩擦性を示す。そのため、人工関節軟骨などの優れた滑り運動特性が求められる生体組織の代替物質として応用が期待される。これまでにゲルの滑り摩擦については数多くの研究がなされてきているが、ゲルを摩擦させたときに必然的に生じる「摩耗」については、詳しく調べられてこなかった。既往研究の多くは、滑り運動後の表面観察像や摩擦係数の時間変化などから摩耗の程度の大小を判断するにとどまり、定量性のある結果は非常に少ない。なぜなら、ゲルは空気中では容易に乾燥して収縮し、水中では摩耗部が膨潤してしまうため、重量測定や形状観察ではいずれも精確に摩耗量を測定できないためである。また、ゲルの微小な摩耗は検出すること自体が困難であった。
前年度までにポリビニルアルコール(PVA)ゲルについて、摩擦後のゲル本体ではなく、潤滑液中に存在する摩耗粒子に着目し、ゲルの摩耗量が紫外分光法と全有機炭素測定法の2つの手法で測定可能であることを示した。本年度はPVAゲルの摩耗量測定と摩擦測定を組み合わせることで、ゲルの摩擦挙動がどのように摩耗量に対応するのかを検討した。疎水ガラス基板上においては摩擦力と摩耗量に比例関係が見られ、荷重依存性や速度依存性においても概ね一致することが示された。また、高い滑り速度においてゲルが示す低摩擦は潤滑によるものだと従来から予測されてきたが、今回の検討により摩耗量も非常に小さくなることが示され、ゲルと基板が接触しない潤滑状態に移行していることが確かめられた。すなわち、摩耗だけでなく、ゲルの摩擦機構についても理解が進んだといえる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

主要な測定機器である粘弾性測定装置レオメータが故障し、年度の半分程度の期間に測定ができなかったため、摩耗測定が当初の予定よりもやや遅れて進行していると自己評価した。

今後の研究の推進方策

ゲルの摩耗を定量的に評価する方法が確立され、ゲルの摩擦と摩耗の関係についても理解が深まった。これまでは基本的にゲルの摩擦相手基板を平滑なガラスにしてきたが、関節軟骨への応用などを見据えて生体内環境により近づけるために、ゲルとゲルの摩擦測定を実施する。また、高強度化したゲルについても摩耗測定を実施する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Wear Evaluation of Poly(vinyl alcohol) Hydrogel by UV Spectrometry and Total Organic Carbon Measurement of Lubricant2022

    • 著者名/発表者名
      Haruna Takefuji, Hiroki Iwama, Masahiko Annaka, Shintaro Yashima
    • 雑誌名

      Tribology Letters

      巻: 70 号: 4

    • DOI

      10.1007/s11249-022-01672-6

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] ザンサン水溶液を潤滑液とするハイドロゲルの滑り摩擦2023

    • 著者名/発表者名
      槇靖幸, 八島慎太郎, 姫野凌哉, 安中雅彦
    • 学会等名
      第46回日本バイオレオロジー学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 全有機炭素測定によるポリビニルアルコールゲルの摩耗解析2023

    • 著者名/発表者名
      八島慎太郎, 岩間拓樹, 安中雅彦
    • 学会等名
      第72回高分子討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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