研究課題/領域番号 |
22K14179
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
高橋 護 三重大学, 工学研究科, 助教 (30844625)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 乱流 / 熱交換 / 数値計算 / 風洞実験 / 熱線流速計 / 乱流輸送 / 壁乱流 / 噴流 |
研究開始時の研究の概要 |
運動量と熱の非相似輸送に関する研究が行われてきたが,一般にどのような条件を満足すれば熱輸送のみを促進できるのかは未解明である.そこで運動量と熱の非相似輸送は乱流運動量流束と乱流熱流束の非相似な消滅に起因するという仮説を立て,本研究では乱流運動量流束のみを消滅させる乱流運動を特定し定量化する.目的達成のため平行平板間乱流の数値計算を実施し,ヘアピン型渦の周辺で乱流運動量流束のみを消滅させる乱流運動を抽出する.次に円形噴流において速度勾配と温度勾配の同時計測を実施し,乱流運動量/熱流束消滅の非相似性を定量評価する.
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研究実績の概要 |
本研究では,圧力によるレイノルズ応力・乱流熱流束の非相似な消滅の抽出,発現機構解明,定量化を,平板間乱流の数値計算ならびに円形噴流の風洞実験により目指すものである. 平板間乱流の数値計算では,昨年度は空間的に局在したレイノルズ応力・乱流熱流束の消滅イベントを数値再現できた.本年度は,そのイベントに関連する速度場の集合平均を取得した.その結果,瞬時の圧力-歪速度積が正(レイノルズ応力減)では非旋回流が,負(増)では旋回流が示された.また瞬時の圧力-温度勾配積が正(乱流熱流束減)よりも負(増)のイベントで壁垂直方向運動が顕著であった.したがって,レイノルズ応力を減らし,乱流熱流束を増大させる,工学的に有益な現象には,垂直方向運動が活発な旋回流が関連していることが明らかになった.同時に,レイノルズ応力が増大しながら乱流熱流束が減少してしまう,工学的に不利益な現象には,水平方向運動が活発な非旋回せん断流れが関連していることがわかった. 噴流の実験では,昨年度は気流加熱装置と温度計を自作したが,電磁ノイズの対策を求められる結果となった.そこで,風洞装置電源へのトランス増設と温度計回路のシールド強化を施し,測定結果への電磁ノイズの影響を大幅に低減した.これにより冷線温度計による温度場単独測定,熱線流速計との同時使用による速度-温度同時測定,さらに本課題の目標である速度勾配-温度勾配同時測定に着手できた.同時測定の結果は単独測定の結果と良好に一致することを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点で,課題である熱輸送のみの促進を実現する乱流現象の「抽出」「発現機構解明」「定量化」のうち,「抽出」は申し分なく達成されたと考えられる.「発現機構解明」は現象の可視化が達成されたことで重要なヒントを得たが,引き続きより詳細に考察・議論する.「定量化」は数値計算については初年度に達成済みな一方,実験については未達成であるが,速度勾配-温度勾配同時測定の実施まで達成できているため翌年度には達成される見込みである.
また,本年度は国際学術雑誌Flow Turb. CombustならびにJ. Mech. Eng. Sci.に論文が1編ずつ採択された.
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は最終年度である.数値計算については,現象の発生機構に関する考察を充実させたうえで,会議にて発表する.数値計算結果をまとめた学術論文の原稿は現在執筆しはじめており,課題期間中に投稿する予定である.実験についても,速度勾配-温度勾配結合統計量の評価と,その結果のバリデーションを完了させたうえで,会議発表ならびに論文原稿執筆・投稿する.今後は設備・消耗品面での高額な支出は予定していない.
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