研究課題/領域番号 |
22K14187
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
神田 雄貴 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (00885874)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 二酸化炭素 / CCUS / 対流不安定性 / 光学計測 / 熱物質輸送 |
研究開始時の研究の概要 |
二酸化炭素分離・回収のコストや所要エネルギー削減には、分離・回収プロセスの高効率化が重要となる。アミンへ二酸化炭素を吸収させる化学吸収法では、二酸化炭素-アミン気液界面での対流不安定性が吸収促進へ有効である。しかし、気液界面近傍で生じる対流不安定性の発生メカニズムや律速が明らかでないという現状がある。 そこで本研究では、高時空間分解能な光学計測手法を用いて、気液界面での熱物質輸送現象や対流不安定性によるフィンガリング現象を定量計測およびモデル化し、対流不安定性の発生メカニズムを明らかにすることで、二酸化炭素分離・回収の高効率化に貢献する。
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研究実績の概要 |
本研究では、独自の高時空間分解能な光学計測手法を用いて、二酸化炭素-アミン気液界面での熱物質輸送現象や対流不安定性によるフィンガリング現象を定量計測および数値モデル化し、対流不安定性の発生メカニズムを明らかにすることで、二酸化炭素分離・回収の高効率化に貢献することを目的としている。 前述の目的を達成するために、本年度は当初の研究計画を再考し、第一の目標であった位相シフトマイケルソン干渉計での可視化に先行して、第二の目標である、気液界面近傍における非定常熱物質輸送の高時空間分解能計測と律速の解明に着手した。 実験では位相シフト干渉計を用いて二酸化炭素吸収時の気液界面近傍における非定常熱物質輸送を評価した。本研究では比較として二種類のアミン溶液(モノエタノールアミン(MEA)、N-メチルジエタノールアミン(MDEA))を用いた。実験の結果、二酸化炭素導入から数秒の時間スケールで気液界面近傍の物質拡散による密度場が乱れ、対流不安定性が生じることを確認した。また二種の溶液の粘性や反応速度の違いから、対流不安定性が界面近傍に生じる時間や反応物のプルーム沈降速度が異なることが確認できた。さらに気相の二酸化炭素圧力の増加によって、二種の溶液において共に対流不安定性の発生時間が短縮し、プルーム沈降速度も増加することが分かり、気相の昇圧が対流不安定性に影響することが示唆された。また二種の溶液における圧力依存性を比較すると、MDEAと比較してMEAでは圧力増加に伴う対流不安定性の影響が小さいことが示唆された。 また実験と並行し、第三の目標である数値計算モデルの構築を継続して実施し、二酸化炭素吸収時における気液界面近傍の対流不安定性の模擬に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
位相シフト干渉計による気液界面近傍における非定常熱物質輸送を実験的に評価し、対流不安定性の可視化および圧力依存性の評価を達成したため。第一の目標である位相シフトマイケルソン干渉計による実験については、装置の構築は完了しており、2023年度に実施した位相シフト干渉計による評価結果を補完する目的で2024年度に実験を行う。
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今後の研究の推進方策 |
位相シフトマイケルソン干渉計を用いた二酸化炭素-アミン気液界面での対流不安定性の評価を行う。また、本研究の第三の目標である、二酸化炭素吸収過程における対流不安定性の推定モデル構築を継続して進める。さらに、本研究をより発展させるために当初予定していたアミンに加え、二酸化炭素吸収溶液としてイオン流体を加えた実験を進める予定である。
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