研究課題/領域番号 |
22K14195
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
|
研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
三浦 飛鳥 九州工業大学, 環境エネルギー融合研究センター, 助教 (10911274)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | 熱電変換 / 強磁性体 / 異常ネルンスト効果 / 熱工学 / 複合材料 |
研究開始時の研究の概要 |
磁気熱電効果は、強磁性体金属において温度勾配および磁化の両方に直交した方向に電場が生じる横型熱電効果である。一方で、従来の熱電効果は温度勾配と平行な方向に電場が生じる縦型熱電効果である。磁気熱電効果に基づく横型熱電発電は、従来の縦型熱電発電にはない様々なメリットを有するが、出力が小さいことが実用化に向けた大きな課題となっている。本研究では、強磁性体金属中の横熱電出力に加え、従来の熱電材料の性能向上に適用されてきたナノ構造化技術を用いて、従来にはないナノ構造化材料技術を用いた材料複合化による磁気熱電変換材料の出力増強・高効率化手法の確立を目指す。
|
研究実績の概要 |
スピン駆動型熱電変換現象である異常ネルンスト効果の出力向上に向けた研究を推進した。異常ネルンスト効果効果とは、強磁性金属において磁化および温度勾配に直交した方向に熱起電力が生じる現象である。本研究では特に、異常ネルンスト効果に大きく寄与している横熱電係数のハイスループットな評価に向け簡便で汎用性の高い測定手法を開発した。従来では材料の横熱電係数を得るためには多くの計測技術・装置が必要であり高精度・ハイスループットな評価が困難であった。一方で本研究では、強磁性金属と非磁性金属で閉回路を構成した系で高精度に横熱電係数を直接計測できることを実験的および理論的に示した。加えて、横熱電係数の温度依存性の計測および提案した評価手法の適用範囲について議論した。横熱電係数は材料の持つフェルミ準位付近の電子バンド構造に大きく影響を受けるため、横熱電係数計測は磁性材料のトポロジカル物性評価に対して有用であり、本研究で提案する手法が新規トポロジカル材料や横熱電変換材料の開発に大きく貢献すると期待できる。 加えて、広い温度範囲での熱電変換材料の熱物性測定系の構築および磁性熱電変換材料の複合材料化に取り組んだ。特に、簡易な塗布プロセスで合成可能であるため注目されているハロゲン化ペロブスカイト薄膜に対して構築した熱物性測定系を用いて熱伝導率評価を行った。また、自身の研究のみならず、大学内外の研究者との共同研究にも大きく貢献し、当初の想定を超えた相乗効果も得られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規磁気熱電変換性能向上手法の開発に向け、広範囲での熱電変換特性の測定系の構築が概ね完了した。また、複合材料の合成も並行して行っており、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
合成条件を変え複合材料の作製を行い、その熱電変換性能の構造依存性およびサイズ依存性・温度依存性を評価する。そこから新規磁気熱電性能向上手法の開発に向けた指針を得る。
|