研究課題/領域番号 |
22K14206
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分20010:機械力学およびメカトロニクス関連
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
廣明 慶一 青山学院大学, 理工学部, 助教 (20781082)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 変動流 / 空力加振 / 流体関連振動 / 流体構造連成 / 風洞実験 / 離散渦法 |
研究開始時の研究の概要 |
薄く柔軟な弾性平板はスマートフォンなどの電子機器のディスプレイ用の偏光フィルムなどをはじめとして,多くの工業製品に利用されており,近年急激に需要が高まっている.弾性平板の製造工程において変動流に起因した振動が発生し,平板の傷や破損などの品質不良の原因となっている.このため,製品の品質や生産性の向上を目指す上で,上記の振動の特性解明と制振手法を確立が急務である.そこで,本研究ではこの振動の励振機構を解明し,さらに得られた知見を基に簡易的かつ効果的な制振手法を確立することを目指す.
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研究実績の概要 |
2023年度は,変動流により加振を受けるシートに発生する振動の特性のさらに詳細な調査および発生メカニズムの解明に取り組んだ. 2022年度に非線形梁理論と離散渦法を組み合わせた非線形流体構造連成解析モデルを構築した.このモデルは先行研究で報告している線形解析モデルを使用した計算結果よりも実験値に近い結果が得られたものの,計算コストが大きいという点が課題として残っていた.このため,近接した渦要素同士を1つの等価な渦要素で置き換えることで,放出渦要素の増加を抑え計算コストの削減を図った.しかしながら,渦要素の合体モデルを導入すると計算精度が低下することが明らかになった.このため,計算コードを並列化することで計算時間の短縮を図る方針に切り替えた.並列化により大幅に計算時間が短縮され,幅広いパラメータで計算を行うことが可能になった.計算の結果,フラッタ発生流速に近い流速域でかつ2次共振ピークにおいてシートの振動振幅が最も大きくなるという結果が得られた. 上記の結果を基に,特に振動振幅が大きくなる条件(流速,加振振動数)に絞って,熱線流速計による変動流速の測定およびCFD解析により振動の発生メカニズムを考察した.まず,熱線流速計を任意の位置に移動させることができるトラバース機構を設計・製作し,変動流中のシート周りの流速分布を詳細に測定した.その結果,シートの支持部付近に局所的な流速変動が生じていることが明らかになった.また,加振板を周期的に振動させて変動流を発生させた条件下でCFD解析を行った結果,熱線流速計による測定結果と同様の流速分布が見られた.さらに,圧力分布を解析した結果,局所的な流速変動が生じるシート支持部付近において圧力変動も大きくなっていることが明らかになった.この圧力変動が振動発生のトリガーになっている可能性が示唆された.この知見は振動の抑止に資するものである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
変動流中のシートに励起される振動に関して,幅広いパラメータで数値計算を行うことにより詳細に振動特性を調べることができている.さらに,実験およびCFD解析の両面から振動の発生メカニズムを調査することができた.以上の理由から,概ね計画通り順調に研究が進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
熱線流速計を用いた変動流速の測定結果およびCFD解析による流速,圧力分布の計算結果から,シートの支持部付近に生じる流速変動に起因して生じる圧力変動がシートの振動発生のトリガーになっている可能性が示唆された.このため,今後は実験と数値計算により得られた知見を基に振動を抑止する手法を構築し,さらに振動の抑止効果を検証する.具体的には,シート支持部に小さな突起状の付加構造物を取り付けることでシートに直接触れることなく振動の抑止を図る.
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