研究課題/領域番号 |
22K14217
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
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研究機関 | 関西大学 (2023) 東京大学 (2022) |
研究代表者 |
白藤 翔平 関西大学, システム理工学部, 助教 (80779330)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 小型移動ロボット / キネマティックシンセシス / ロボット設計 / 機構学 / 協調マニピュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
トラックなどからの荷物の積み下ろしは、自動化が望まれるが、汎用的なロボットアームを用いることが難しい。これは、人と近い限られた空間でおこなわれる作業であるため、ロボットのサイズや安全面の問題を解決できないことによる。本研究では、このようなタスクを遂行するために、そもそも単独ではなく、複数台が協力することを前提に最適化された小型ロボットを設計開発する。機構学の観点から、状況に応じて、ロボットの組み合わせや、ロボットのなかの駆動する関節を切り替えるなどして、適応的なマニピュレーションを実現し、荷物の積み下ろしを自動化するとともに、ロボット設計の新しい方法論を確立する。
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研究実績の概要 |
トラックなどからの荷物の積み下ろしは、人にとって身体的負荷の高い繰り返し作業であり、自動化が望まれるが、汎用的なロボットアームを用いることが難しい。これは、人と近い限られた空間でおこなわれる作業であるため、ロボットのサイズや安全面の問題を解決できないことによる。本研究では、このようなタスクを遂行するために、そもそも単独ではなく、複数台が協力することを前提に最適化された小型ロボットを設計開発する方法の提案を目指している。 本研究課題では、これまでに複数台が協力して物体を搬送することを想定した、ロボットの提案と開発をおこなっている。ロボットは、物体が載せられるまで物体を支える支持点として働くことで、他のロボットのマニピュレーションを補助する機能と、構造を変化させ1つの車輪として移動を支える機能を有しており、小型ロボットながら大型の物体を自由に搬送することができる。また、これまでに実験を通してロボットの大型の物体を搬送に対する有用性を示している。 実際には、与えられたタスクや環境によって、最適なマニピュレーション機構や自由度は異なるため、状況に応じて最適な機構を設計し直したほうが効率の良いロボットの協調作業が可能となる。本研究では、上記のようなロボットの開発と並行して、与えられたタスクや制約条件にもとづき、最適なマニピュレーターの自由度とその機構を最適化により求める手法を提案している。これまでに、ロボット関節の位置姿勢を表すリー群上での勾配法による最適化で、効率よくこれを求める手法を提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度には、複数台が協力して物体を搬送することを想定したロボットの提案と開発をおこなった。このロボットは、3台のロボットが1つの物体を支えながら移動することを前提にしており、以下の機能を有する。 (1)ロボットは、物体が載せられるまで、一点で物体を支える支持点として働き、他のロボットのマニピュレーションを補助する機能を持つ。 (2)物体が完全に3台のロボットのうえに載ったあとは、構造を変化させ、それぞれが、1つの車輪として機能する。 (3)ここの車輪は、オムニホイールとなっており、お互いの相対的な位置を把握することで、自在に全方向に移動しながら物体を搬送することができる。 このような機能を有するロボットを実装し、実験を通して、小型の移動ロボットが協同で物体を搬送することの有用性と、専用の機能を設計することの利点を示した。 さらに昨年度には、与えられたタスクや制約条件にもとづき、上記の機構を再設計するためのマニピュレーターの最適化手法を提案した。この手法では、ロボット関節の位置姿勢を表すリー群上で勾配法を利用して最適化をおこなうことで、制約も考慮しながら効率よくマニピュレータ機構の再設計をおこなうことができる。また、これらと並行して、物体が環境や他のロボットと接触した状態で、ロボットがマニピュレーションをおこなううえで重要となる、接触状況のセンシングに関しても研究を進めている。昨年度には、物体の動きから接触状態を推定するための幾何的な最適化方法を提案することで、センシングの基礎部分を構築した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、先に提案した機構の最適化手法を、並行して開発を進めている小型ロボットの設計に反映することで、タスクに応じたロボットの再設計の有効性を示す。これを通して協調作業特有のロボット間で発生する内力の最小化など、新たに生じる設計における制約を最適化手法に反映する手法を提案する。また、複数台のロボットによる接触をともなう物体のマニピュレーションに必要なセンシング技術の開発も、先に提案した物体の運動にもとづく接触状況の推定手法を発展させることで進めていく。
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