研究課題/領域番号 |
22K14223
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
部矢 明 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (80911297)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | アクチュエータ / ハイブリッドアクチュエータ / 多自由度アクチュエータ |
研究開始時の研究の概要 |
人のいる環境で組立等の作業を行う協働ロボットの駆動機構には,作業遂行のための高出力・高精度な動作と安全な接触のための柔軟性が求められる。しかし,既存の多自由度機構は多数のモータ・減速機を組み合わせて構成されるため,各モータの制御誤差と機械要素の機械的誤差が累積し,精度低下を招くとともに接触剛性が高く柔軟性に欠ける。そこで本研究では,出力密度が高く空気粘弾性による柔軟性を持った空圧力駆動と俊敏かつ高精度な電磁力駆動のハイブリッド化により,高出力・高精度かつ柔軟動作が可能なな新しい多自由度アクチュエータを開発する。そして,提案アクチュエータを組み合わせた高出力柔軟マニピュレータを実現する。
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研究実績の概要 |
本年度は,昨年度に提案した2自由度空電ハイブリッドアクチュエータのハイブリッド制御法を検討した。制御法としては,Sardelittiらが提案したDistributed Macro-Mini Actuation Approachを用いた。この手法は,空圧トルクと目標トルクの差を計算し,それを誤差として電磁トルクによって補償するという概念である。一般に,空圧系は電磁系と比較して出力重量比が大きい一方,バルブの応答遅れや摩擦等が影響して高精度な制御は容易でない。電磁系は出力重量比において劣るものの俊敏かつ高精度な動作に適するため,空圧系と電磁系のハイブリッド利用は欠点を補い合うことが期待できる。この手法を提案アクチュエータに対して適用し,空圧系と電磁系の性能を変化させた際のハイブリッド化の効果をシミュレーションによって評価した。動作シミュレーションにおいてはハイブリッド制御時と空圧系・電磁系の単体利用を比較し,Distributed Macro-Mini Actuation Approachを用いた空電ハイブリッド制御によって軌道追従精度の向上を確認した。 また,2自由度空電ハイブリッドアクチュエータの試作機を製作し,加圧時の空圧トルクおよび電流印可時の電磁トルクをジンバル機構に組み込んだ力センサにより測定した。空圧トルクは蛇腹の膨張による受圧面積増加の影響から,理論計算と比較して増加がみられたが,定性的には一致した。電磁トルクは組立誤差によるエアギャップ変化から,3次元有限要素法磁場解析結果と比較して減少がみられたが,定性的な一致を確認できた。最後に,空電ハイブリッド駆動によって最大トルクが得られることを実験からも確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は,空圧力と電磁力の2駆動源によって2自由度回転を実現する2自由度空電ハイブリッドアクチュエータの構造および動作原理を提案した。そして,本年度はその試作機を製作し,提案構造・原理によって実際にトルク生成が可能であることを確認した。また,ハイブリッドアクチュエータだからこそできる制御法として,Distributed Macro-Mini Actuation Approachに着目し,動作シミュレーションによって有効性を検証した。以上から,おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,2自由度空電ハイブリッドアクチュエータの試作機により,Distributed Macro-Mini Actuation Approachを用いた空電ハイブリッド制御系の軌道追従精度を検証する。また,試作機をもう1台製作し,2台の提案アクチュエータを連結することで柔軟マニピュレータを構成する。そして,そのマニピュレータによって重量物の搬送と高精度な位置決めが可能かを検証する。
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