研究課題/領域番号 |
22K14224
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
金田 礼人 九州大学, 工学研究院, 助教 (60879972)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 伸縮ロボット / ロボットアーム / 連続体ロボット / ソフトロボット / 生体模倣 |
研究開始時の研究の概要 |
介護・福祉・災害救助などの非構造化環境において、安全かつ力強い伸縮ロボットアームの活躍が期待されている。例えば、伸縮アームは、伸びたり曲がったりしながら周囲の障害物を避けて目標物まで到達し、それが重たい荷物であっても持ち上げて操作する。このようなコンセプトはアニメや映画の世界ではよく見られるが、その実現は容易ではない。なぜなら、マジックハンドなどの剛体伸縮構造は屈曲動作ができず、ソフトロボットなどの柔軟伸縮構造は可搬重量が低いためである。そこで本研究は、しなやかさと頑強さを兼ね備えるキツツキの舌骨構造から着想を得た、高ペイロード伸縮屈曲ロボットアームを開発する。
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研究実績の概要 |
介護・福祉・災害救助などの非構造化環境において、安全かつ力強い伸縮ロボットアームの活躍が期待されている。例えば、伸縮アームは、伸びたり曲がったりしながら周囲の障害物を避けて目標物まで到達し、それが重たい荷物であっても持ち上げて操作する。このようなコンセプトはアニメや映画の世界ではよく見られるが、その実現は容易ではない。なぜなら、マジックハンドなどの剛体伸縮構造は屈曲動作ができず、ソフトロボットなどの柔軟伸縮構造は可搬重量が低いためである。そこで本研究は、しなやかさと頑強さを兼ね備えるキツツキの舌骨構造から着想を得た、高ペイロード伸縮屈曲ロボットアームを開発する。初めに、本研究のキーテクノロジーである「キツツキの舌骨を模倣した伸縮屈曲機構」を2次元から3次元に拡張する。次に省スペース化のために、マニピュレータの折り畳み機構を提案し、最適な折り畳み方を明らかにする。また配線レス化のために、駆動ユニット内部にバッテリ、マイコン、通信装置を組み込んだ小型モジュールの開発を行う。最後に試作したマニピュレータの運動モデルを構築し、モデルに基づいた制御手法の開発に取り組む。3次元空間で動作するマニピュレータの軌道追従性およびペイロード下の手先精度を評価する。申請者の提案手法は、ロボットマニピュレータにおけるシンプルな基礎技術であり応用範囲が広い。スーパーのバックヤードから災害救助現場に至るまで、安全かつ器用に働くマニピュレータの基礎として役立つだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度は予定通り提案機構の試作を行った。当初は、マニピュレータに作動力を伝達するラックギアとして、市販品の柔軟ラックギアを使用する予定であったが、ギアの異方性剛性が問題となった。そこで、等方性剛性を有するギアを一から試作することで、マニピュレータの作動に成功した。
もう1つの目標は、配線レスを目指したモータユニットモジュールの開発であった。提案する機構においてモータユニットの1つがマニピュレータ上を移動するため、ユニットの配線が動作の邪魔になる問題がある。これを解決するために、ドライバ、マイコン、バッテリ、通信装置をモジュール化する予定であった。しかし、モータユニットをモジュール化することは重量の増加につながり、柔軟なマニピュレータがたわんでしまう問題を引き起こす。そこで申請者は、全てのモータユニットをロボット土台に固定する、新しい機構を考案した。モータユニットがマニピュレータ上を移動しなくなったため、配線や重量の問題を解決できた。
さらに、マニピュレータのモデル化を進めた。提案マニピュレータは柔軟な体幹を有するため、外力によって姿勢が大きく変化する。この特徴を生かして、姿勢の変化から外力を求めることを考案した。マニピュレータの体幹に複数の慣性計測装置を埋め込み、測定した角度からロボットの姿勢を推定し、そこからさらに外力を推定することに成功した。これにより、マニピュレータはヒトや環境に安全に接することが可能となる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の研究方針は大きく以下の2つである。1つは、マニピュレータの機構を6自由度に拡張することである。上記で述べたように、マニピュレータのモータユニットをその土台に集約することで、配線レスおよび軽量化を図る。
もう1つは、マニピュレータのモデル化である。マニピュレータの機構の改良に伴い、制御モデルを新たに構築する。モデルに沿ってマニピュレータの手先位置を正確に制御できるか確かめるために、目標軌跡への追従実験を行う。
課題は予定通りに進捗しており、次年度中に実験の結果をまとめて成果を報告する予定である。
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