研究課題/領域番号 |
22K14245
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
|
研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
川口 悟 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 助教 (70834852)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 機械学習 / PINN / 電子速度分布関数 / 気体放電プラズマ / 放電基礎過程 / 電子輸送係数 / プラズマ / ニューラルネットワーク |
研究開始時の研究の概要 |
プラズマシミュレーションの精度に直結するプラズマ中の電子輸送の計算精度向上のために,電子輸送を最も正確に表現できる7次元ボルツマン方程式を直接数値的に解くための数値解法を開発する。深層ニューラルネットワークにボルツマン方程式を満たす関数(電子速度分布関数)を学習させて解となる関数そのものを得る。この方法は計算領域の離散化が不要であるため,7次元空間を考慮するために必要となるメモリ量を劇的に低減できる。開発方法の妥当性を,モンテカルロ法による計算値との比較によって検証する。
|
研究実績の概要 |
RF電界下における時間依存の電子速度分布関数(EVDF: Electron Velocity Distribution Function)を,Physics-Informed Neural Network (PINN)を活用したボルツマン方程式(BE: Boltzmann Equation)の直接数値解析によって正確に求める方法を開発した.ここでは,EVDFをフィードフォワードニューラルネットワークによって近似し,BEを満たすように学習を行い,(1), (2)の知見を得た. (1) PINNによって,EVDFが初期分布から周期的に定常な分布に達するまでの過程を求めることができた.また,ニューラルネットワークの学習に使用する座標点の設定方法が学習の成否に大きく影響を与えることがわかった.単にランダムに座標点を与えるのではなく,Evolutionary sampling法などを用い,BEの残差の絶対値が高い地点に座標点を多く与えることが有効であることが分かった. (2) EVDFを表現するニューラルネットワークに予め周期性を持たせることにより,多数のRFサイクルを解くことなく,与えられたRF電界下におけるEVDFの周期的定常解を得ることができることが分かった. また,BEを速度空間で積分すると,電子数密度連続の式が得られる.電子数密度の時空間進展の実験値と矛盾しないように連続の式をPINNを活用して解く方法を開発し,これによって電子輸送係数を決定する新たな方法を提案した.これにより,換算電界が29.7 Td - 1351.6 Td (1 Td = 10^(-21) Vm^2)の範囲におけるArガス中の電子ドリフト速度,電離衝突レート係数,電離係数,縦方向拡散係数,高次の係数等を決定することができた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2023年度実施予定だった,PINNを活用してRF電界下におけるEVDFが初期分布から周期的定常な分布に緩和するまでの計算に取り組んでおり,研究実施計画を前倒している.また,BEから得られる有用な微分方程式である電子数連続の式の解析へと研究を拡張し,電子輸送係数を決定する新たな方法を提案した.したがって,当初の計画以上に進展していると判断する.
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに開発した手法を時間依存および空間依存のEVDF計算に拡張する予定である.これにより,直流電界 + 直流磁界下 ならびに 交流電界 + 直流電界下における時間依存および空間依存のEVDFを正確に計算する方法を確立する.PINNによる電子数連続の式の解析においては,PINNにベイズ推論を組み合わせたBPINN (Bayesian Physics-Informed Neural Networks)を活用して,得られる解および電子輸送係数の不確かさの定量化に取り組む予定である.
|