研究課題/領域番号 |
22K14248
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
野村 勝也 関西学院大学, 工学部, 講師 (30581425)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | ノイズフィルタ / 電力変換器 / 感度解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、電力変換器用ノイズフィルタの設計支援方法確立にむけて、感度解析を用いたノイズ伝播経路可視化の実現を目的とする。 1年目で主要なノイズ経路が既知の事例で検証を行い、2年目で主要経路が未知の事例での検証および可視化結果に基づく設計・対策指針の体系化を行う。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、電力変換器用のノイズフィルタを対象にして、電磁ノイズの種類と影響する物性値との対応関係をもとに、支配的なノイズの伝搬経路を可視化することである。これまでノイズ伝搬経路が既知の例題で検討を行い、電界結合によるノイズ伝搬と磁界結合によるノイズ伝搬を可視化することに成功した。 具体的には、まずコンデンサを設けたフィルタ回路において、予想通りコンデンサ電極間で誘電率に対する感度が大きくなり、電界結合によるノイズ伝搬を可視化することができた。またこのフィルタ回路では周波数に応じて電界結合の寄与度が変わるが、その強弱が感度の値にも反映されることを確認した。これはノイズ伝搬経路が周波数に応じて切り替わる現象を解析する際に、解析周波数を変えて感度解析を行うことの有効性を示唆するものであると言える。またπ型フィルタ回路においても検討を行った。この回路ではインダクタンスを大きく設定することで、入力ループと出力ループ間を磁界結合で伝搬するノイズが支配的となるが、感度解析を行った結果、予想通りループ間において透磁率の感度が大きな値をとった。このことから、磁界結合によるノイズ伝搬経路を可視化することができた。また感度を表示するしきい値を変えながら結果を可視化することにより、ノイズが伝搬する様子をより明解に示すことができた。 これらの知見は、本研究の根幹をなす「電磁ノイズの種類に応じた物性値の感度を用いて伝搬経路を可視化できる」という仮説を支持するものであり、大きな研究成果であるといえ、査読付き学術雑誌論文への投稿を現在準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り令和4年度はノイズ伝搬経路が既知の例題において検討を実施した。具体的には「研究実績の概要」でも述べた通り、コンデンサを設けたフィルタ回路とπ型フィルタ回路の2つの例題において、導電率・誘電率・透磁率に対する感度解析を行い、ノイズ伝搬経路の可視化についての検討を行った。その結果、電界結合と磁界結合が支配的なノイズ伝搬メカニズムである場合においては、当初の仮説通り、それぞれ誘電率と透磁率に対する感度が大きくなり、伝搬経路を可視化することに成功した。また周波数に応じた伝搬経路の切り替わりについても、提案方法により把握できるという可能性を示唆する結果も得られた。その一方で、伝導ノイズが支配的な場合においては、予想と異なり、伝導率に対する感度よりも透磁率に対する感度が大きくなる結果となった。しかし、感度が大きい箇所は伝導ノイズのバイパス経路において集中しているため、当初の予想とは異なる方法により伝搬経路を把握することは可能であると推測される。以上の進捗状況より、当初の研究計画はおおむね順調に進展しているものであるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
まずπ型フィルタで伝導ノイズが支配的な場合において、伝導ノイズの経路を可視化する方法の検討を行う。次に、ノイズ伝搬経路が未知の例題での検討を行う。具体的には、電磁界シミュレータAnsys HFSSにおいて用意されている、CISPR25のエミッション解析用例題を用いて検討を行う。そしてこれまでの検討結果から経路を推定するとともに、可視化結果に基づく設計・対策方針の立案を行う。また得られた研究成果の査読付き学術雑誌論文への投稿を並行して進める。
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