研究課題/領域番号 |
22K14253
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分21020:通信工学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小島 駿 東京大学, 生産技術研究所, 特任助教 (10907695)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 通信環境推定 / 深層学習 / 適応変調符号化 / スペクトル有効周波数分割多重 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,無線周波数資源の有効活用に当たり,SEFDM方式が注目されている.SEFDMでは信号を圧縮し送受信を行うため,圧縮信号間で干渉が生じる問題がある.従来ではこの干渉除去に莫大な計算量を要するため,適応制御に必要とされる通信環境情報の高速・高精度な取得が困難であった.そこで本研究では,干渉が与える影響の理論解析を通し,深層学習への最適な信号入力形式の同定を行い,内包される特徴を最大限に抽出することで,干渉除去を行わずに低計算量でかつ高速・高精度な通信環境情報推定手法の創出を目指す.さらにSEFDMとOFDMとの併用を可能にする適応変調符号化制御への応用を行い,高効率な通信方式の確立を図る.
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研究実績の概要 |
無線通信網は現代および将来のインフラとしてますます重要性を増しており,周波数資源の逼迫は喫緊かつ重大な社会課題である.近年では効率的な周波数資源の活用方式として,スペクトル有効周波数分割多重(SEFDM)が注目されている.この方式では信号を圧縮し送受信を行うため,圧縮信号間で干渉が生じる問題がある.従来ではこの干渉除去に莫大な計算量を要するため,適応的な制御に必要とされる通信環境情報の高速・高精度な取得が困難であった.そこで本研究では,干渉が与える影響の理論解析を通し,深層学習への最適なSEFDM信号の入力形式の同定を行い,信号に内包される特徴を最大限に抽出することで,干渉除去を行わずに低計算量でかつ高速・高精度な通信環境情報推定手法の創出を目指す.さらにSEFDMとOFDMとの併用を可能にする適応変調符号化制御への応用を行い,高効率な通信方式の確立を図る. 本課題の2年目である2023年度は,SEFDMにおける圧縮による干渉の影響の理論解析結果を基に,通信環境情報としてSNR,ドップラーシフト,Kファクタに着目した場合における最適な深層学習構造の検討を行った.抽出する特徴量の特性の異なる複数の入力形式を組み合わせたマルチモーダルネットワークを新規に提案し,その詳細な適用領域(分類可能範囲,未知の通信路に対する有効性)を検証した.シミュレーション結果より,従来法と比較した場合で提案法は最大で約12%の推定精度の性能改善効果を示した.また学習データセットが限定されるような環境における評価では,従来法では学習不足による精度の劣化が生じるのに対し,提案法を用いることでその劣化を大幅に抑制可能なことも明らかにした. これらの成果の一部をまとめたものを国際会議,IEEEジャーナルへ投稿している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第二年度の主なテーマであったSEFDM信号の特質に適った深層学習構造の提案とその初期的な性能評価を完了し,その成果を国際会議で発表し,論文誌投稿を行った.これらのことを踏まえ本年度は当初の計画通りに進展していると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,本年度の結果を踏まえ,SEFDM信号を用いた実機実験系を構築しデータ収集を行い,そのデータセットを用いた場合の提案法の有効性の評価を実施する.
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