研究課題/領域番号 |
22K14268
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分21030:計測工学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 磁気粒子イメージング / 磁気センサ / 磁性ナノ粒子 |
研究開始時の研究の概要 |
MRI(磁気共鳴画像診断装置)やX線CT(コンピュータ断層撮影)などの画像診断は医療現場においてなくてはならない、極めて重要な診断手法となっている。これらの診断法では様々な組織が画像化されることが特徴である。トレーサーと呼ばれる物質を投与し、それを検出、特定の組織等のみを画像化する手法もある。例えばPET(陽電子放出断層撮影)が臨床で使用されている。 本研究は磁性ナノ粒子をトレーサーとして用いる新しい画像診断技術に関するものである。磁性ナノ粒子を腫瘍等に集積させ、超高感度磁気センサに体外から検出する新しい技術の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
磁性ナノ粒子に磁界を印加すると、磁性ナノ粒子自体若しくはその内部の磁化がその磁界の方向に回転しようとする。体内の腫瘍等に集積させた磁性ナノ粒子に体外から交流磁界を印加すると磁性ナノ粒子はその交流磁界の周波数に同期して応答する。この磁化変化を体外から磁界の変化として検出することが磁気粒子イメージングの原理である。 磁性ナノ粒子からの磁界信号を検出コイルに生じる誘導起電力として測定するのが従来手法である。本研究ではそれに加え、磁気抵抗効果センサ(MRセンサ)を用いる新たな手法を提案、その検出感度を検証し、磁気粒子イメージングへの有用性を明らかにすることを研究目的としている。 2023年度は、(1) 狭帯域周波数変調の磁化信号と低磁界でのMRセンサを用いた長距離磁性ナノ粒子検出、並びに(2) 磁気トランス結合方式を利用する人体頭部サイズの磁気粒子イメージング装置を前提とした磁性ナノ粒子の高感度検出について研究を実施した。 (1)心磁界などの生体磁気計測に用いられているMRセンサを、頭部サイズの磁気粒子イメージングMPIシステム用の励磁コイルから100 mmの位置に設置した。磁性ナノ粒子試料は直径200 mmの励磁コイルから50 mmの位置に設置した場合、最大H=0.06 mT/μ0が印加される。MRセンサと試料の距離dを変えながら、フーリエ変換した磁化信号の振幅や位相を評価したところ、濃度5.6 mgFeのフェルカルボトランはd=75 mmでも検出可能で、共振周波数f =10 kHzにおいてSNRが最も高かった。 (2)磁性ナノ粒子の磁化変化を検出する一次コイルに閉接続した二次コイル内にMRセンサを設置する磁気トランス結合方式を頭部サイズの磁気粒子イメージング装置に実装させ、磁性ナノ粒子の感度限界を定量評価する手法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の研究計画に従い、磁性ナノ粒子の検出手法の確立を経て、励磁コイルを含む磁気粒子イメージング装置全体のセットアップを設計試作した。頭部サイズの磁気粒子イメージング装置の実機製作を完了させたことは、極めて意義があり、国内外の研究機関に先駆け、臨床応用可能なサイズでの磁性ナノ粒子の高感度検出を実現する手法を明らかにする段階に到達したため。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画とおりに2024年度は、頭部サイズの磁気粒子イメージング装置を用いて、磁性ナノ粒子の非線形磁化応答に伴う奇数次高調波信号成分を測定する手法に加え、神経刺激などを考慮したより低励磁強度での磁気粒子イメージング、この二つの励磁条件下で磁性ナノ粒子の高感度検出を試みる。検出方法にはMRセンサを用いる。磁性ナノ粒子の磁化変化を直接、磁界検出する手法、および磁気トランス結合方式により磁気粒子イメージングの実用に向けた技術を確立する。
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