研究課題/領域番号 |
22K14280
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分21040:制御およびシステム工学関連
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
川口 夏樹 兵庫県立大学, 工学研究科, 助教 (90824392)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 入力冗長系 / 適応制御 / 故障診断 / 零空間補償制御 / 耐故障制御 / 故障診断系 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は、全輪駆動電気自動車や6つ以上のロータを備えたドローンなどの入力冗長系を対象とする。 入力冗長系では、複数の駆動源が発揮する力が互いに打ち消しあい、余分なエネルギー消費や機器摩耗を引き起こす可能性がある。その一方で、これらの相殺力を積極的に利用して故障診断を行うことも可能である。 そこで本研究では、冗長系の相殺力をオンラインで適切に管理する冗長性統合制御システムを提案する。これにより、余分なエネルギー消費や機器摩耗の極めて少ない高効率制御ならびにアクティブ故障診断・故障補償による高信頼性制御の両立を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究課題「入力冗長系の高効率・高信頼性制御を実現する冗長性統合制御システム設計」は,複数の余分な(冗長な)入力系統を有する機械・電気システムを対象として,冗長性を積極活用した高効率かつ高信頼性を有する制御系設計法の確立を目指すものである. 冗長系では複数の駆動源が生成する制御力が互いに打ち消しあい,ある制御目的を達成するために余分なエネルギー消費や機器摩耗を引き起こすことがある.一方で,この打ち消しあう力が制御目的の達成に寄与しないことを利用して,制御性能に影響を与えることなく系の内部のようす(故障状態等)を診断することも可能である.本研究課題では,これら2つの作用のトレードオフ関係に着目し,システムの運転状態により制御系の高効率性と高信頼性を適切に配分する冗長性管理システムの確立を目指している. 初年度の本年は,主として(1)研究を遂行するために必要な予備実験のための簡易的な装置の設計・製作,(2)冗長系のモデリングのためのシステム同定手法の検討・実験,(3)冗長性を活かした適応制御系において制御対象の内部を調べるための適切な補助信号についての検討,を実施した.これらの検討の結果として,それぞれ(1)冗長系の一対象であるドローンの駆動系統の特性についての知見,(2)システムの運転中の計測データから制御対象の動きを計算するための基本的なモデル構築手法,(3)冗長性活用において重要となる冗長な駆動系統の特性をオンラインで得るための信号選択方法,といった成果が得られた. 次年度以降は,これらの成果を踏まえて高効率制御と高信頼性制御のトレードオフ設計に必要な意思決定系の構築方法について研究を推進する.また上記の成果の一部を国内雑誌論文や国内会議,国際会議にて発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題遂行のため,初年度は主として(1)駆動系統の特性把握に必要となる予備実験のための簡易的な装置の設計・製作,(2)入力冗長系の健康状態を把握するために必要なオンラインモデリングのためのシステム同定手法の検討・実験,(3)高信頼性制御の実現に必要となる制御対象の内部を調べるための適切な補助信号についての検討,の3点についての研究を実施した. 上記(1)について,冗長系の一対象であるドローンの駆動系統を模した1つのロータ(モータとプロペラの組み合わせ)からなる1自由度システムを製作し,主としてロータの動特性・静特性を調べた.得られた結果からドローンの駆動系統のモデリング方法や扱い方について検討し,冗長系における高効率制御設計に繋がる知見が得られた.上記(2)はドローン装置を用いた制御実験データから事後的にモデルを特定する方法について検討した.ここでは,ドローンに標準的に搭載されるセンサより得られる複数の入力信号の値と高さ方向の変位から鉛直方向モデルを得ることができた.今後はこの手法をより発展させ,オンラインで対象の特性変動を検知するシステムの構築に活かすことを計画している.また上記(3)については,高信頼性制御の核となる冗長駆動系統の健康状態をモニタリングするために冗長入力の相殺状態を実現する適応制御手法において,適切な補助信号の選択についての検討を数値シミュレーションを通じて行った. これらの研究活動の結果として,冗長な入力系統の扱い方など高効率制御についての知見や,オンラインモデル推定手法,冗長入力の相殺状態の適切な実現条件など高信頼性制御を達成するための基礎的な成果が得られた. 次年度以降はこれらの成果に基づいて,高効率性と高信頼性のトレードオフ設計に重要となる意思決定系の構築方法についての研究を実施する.
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今後の研究の推進方策 |
初年度の本年は,課題解決のための基礎となる予備実験や理論的検討を行い,概ね期待通りの成果を得ることができた.今後の研究の推進方針として,大きく分けて(1)制御系の高信頼性と高効率性を適切に調整する意思決定系(冗長性管理システム)についての検討,(2)理論検証実験のための実験系構築,をそれぞれ進めることを考えている. 前者では,冗長系における高効率性と高信頼性のトレードオフ特性を適切に調整する上位機構の設計を目指すうえで,冗長な入力系統間で制御力を相殺しながら目的を達成する適応制御手法である零空間補償制御をベースとして考える.具体的には,零空間補償制御において冗長入力間の相対的な利得をオンライン同定するために使用する補助信号の大きさ・タイプを,制御系の運転状態に応じて調整する機構を考案する.この上位機構では,制御系の運転状態を定量的に把握する機能と,それに対応した補助信号を決定する機能が必要となるため,それぞれについて検討する. 一方後者として,前者を含めこれまでに検討している理論的考察を実験において検証するための装置を設計・製作する,具体的には,初年度において構成した基礎的な駆動系統を模した予備実験装置を活用し,冗長な機械-電気系であるヘキサロータドローン(6つのロータを有するドローン)装置の製作を目指す.実験系の構築においては,理論検証に必要な要件,条件での実験が可能かどうかを常に念頭におき,必要であれば予備的な実験を実施してその結果を適宜理論構築にフィードバックする.
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