研究課題/領域番号 |
22K14298
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
タン ルイ 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (30929146)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 光ニューラルネットワーク / 光行列演算 / 深層学習 / 光計算 |
研究開始時の研究の概要 |
深層学習の演算性能を向上させるには、高速かつ低消費電力のハードウェアが不可欠である。光の並列性を活用した光ニューラルネットワーク(ONN)チップを用いることで、消費電力を減らしつつ深層学習の主な演算である行列演算を加速できるが、チップ構造上の本質的な制限により、大規模化可能なONNチップはまだ実現されていない。本研究では、光パルスを用いて、エッジ側とサーバー側での深層学習のそれぞれに適したスケーラブルなONNチップを実現し、高速かつ低消費電力の深層学習を実証する。
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研究実績の概要 |
本研究では、スケーラブルな光ニューラルネットワークチップの実現を目指している。当該年度において、はじめに光ニューラルネットワークの核心である光行列演算用の新しいアーキテクチャを提案した。具体的に、二層導波路構造と新規な多入力ポート光検出器を用いて、光行列―ベクトル演算回路と光行列―行列演算回路を提案した。従来のコヒーレント型光回路と比較して、本行列―ベクトル演算回路ではエラーソースである各マッハ・ツェンダ干渉計を独立させることで、計算エラーを低減できることを明らかにした。また、本研究の回路構造に限らず、光行列―行列演算回路のほうが処理速度とエネルギー効率が高いことを明らかにした。4波長を使うことで、20×20以上の行列規模ではエネルギー効率を2倍向上できることを示した。 続いて、得られた知見に基づいて単一波長、32×32の光行列―ベクトル演算回路と3波長、12×12の光行列―行列演算回路を設計し、商用の半導体ファウンドリーでデバイスを作製した。原理実証のため、これらの光回路では熱光学位相シフタを用いた。また、多波長を合波・分波するフィルターは可変なリング共振器フィルターを使用した。作製された光チップを実装した上で評価する必要があるため、端面研磨などの準備を行った。現在はチップの実装を進めている。これらの結果は、光ニューラルネットワークの大規模、高速、低電力化に貢献できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一年目は、二層導波路構造と新規な多入力ポート光検出器を用いて、光行列―ベクトル演算回路と光行列―行列演算回路を提案し、これらの光回路の理論特性を明らかにした上で、原理実証用の単一波長、32×32と3波長、12×12のデバイスを作製したため、概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、作製された二つの光回路を実装し、動作実証を行う予定である。また、光パルスを用いた方式と並行して、連続波(CW)光を用いたデバイスの作製と動作実証も行うつもりである。光パルスとCW光を用いた場合はそれぞれのメリットがある。光パルス方式ではデバイス規模を拡張することが容易であり、CW光方式ではより高速な演算が可能である。両方式を比較することで、光ニューラルネットワークにとって最適な手法とシステム構成を探索する予定である。
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