研究課題/領域番号 |
22K14300
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
伊藤 大輔 岐阜大学, 工学部, 助教 (90759250)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | PAM4符号 / 歪補償回路 / CTLE / スタック型部分等化技術 / 光通信 / 光通信用集積回路 / 多値符号変調 / 電気分散補償回路 |
研究開始時の研究の概要 |
年々増加する情報通信量に対して,それを支える情報インフラである光ネットワークの大容量化が喫緊の課題である. そこで,既存の要素回路を用いつつ大容量化が可能な多値変調方式の導入が期待されており,IEEE ではPAM4符号を用いた短距離用400GbE の標準仕様が策定され,現在,実用化が進められている.しかし,多値変調方式は信号の歪に対して性能低下が生じやすく,長距離通信時の波形劣化による受信特性の悪化が課題である. 本研究は,多値変調方式の普及に向けた伝送距離の長延化を実現することを目標とし,新たに独自のスタック型部分等化技術による多値符号対応電気分散補償回路を開発する.
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研究実績の概要 |
提案するスタック型部分等化技術を取り入れた歪補償回路を検討した. 提案歪補償回路はクリッパにより入力波形を上下に分割した後, Feedforward Equalizer (FFE) 回路で各波形を個別に補償する. また, 中間電圧を閾値とするコンパレータの出力波形をマルチプレクサの信号選択動作に使用し, 補償された上下の波形を組み合わせ,PAM4符号の波形を再構成する.スタックなしの従来のFFE回路ではPAM4符号に対応するためには広い線形性が要求されるが, 提案構成では上下に分割されるため同等の波形補償に必要な線形性はおよそ 1/2 に緩和できことを回路シミュレーションにより確認した. 従来及び提案する歪補償回路の補償量は,伝送線路の劣化度合いに応じて適切な強度で与える必要がある.そこで,劣化度合いに対する最適な補償量の理論体系の構築と,数値解析を行った.伝送線路及び歪補償回路を伝達関数として数理モデル化し,単位ステップ応答波形を,逆ラプラス変換を用いて導出した.得られた式を用いた目的関数をNewton法によるヒューリスティックな解法で解くことで劣化度合いに対する最適な補償量が導出できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度の研究計画は下記である. 1) スタック型部分等化技術による多値符号歪補償回路の検討,2) 多値符号歪補償回路の集積化設計・試作及び動作検証,3) 波形モニタ回路及び歪補償回路の適応制御技術の基礎検討 1)に関しては,多値符号歪補償回路を実現する回路構成の検討を進めた.現段階では,CTLE回路を元にした歪補償回路,入力信号を上位・下位に分けて抽出し,実際に補償を行うスタック構成の2種類の回路構成を検討している.今後,これら2つの回路の歪補償能力の比較し,提案するスタック構成の有効性を検証する.2)に関しては,提案回路の一部を抜き出した検証用TEGチップを0.18-μm CMOS で試作し,オンウェハプロービングを用いた実回路測定による性能評価を進めている.3)に関しては,次年度以降実施予定の,制御技術の確立に向けた基礎検討を行っている.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの達成度から,今後は以下に記す研究を遂行する. 1) スタック型部分等化技術による歪補償回路の有効性の検証 2) 波形モニタ回路及び歪補償回路の適応制御技術の基礎検討 3) 提案回路のパケット通信対応化のための詳細構成の検討
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