研究課題/領域番号 |
22K14307
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分22010:土木材料、施工および建設マネジメント関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
寺澤 広基 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (50750246)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 漏洩磁束法 / 非破壊検査 / 鉄筋 / PC鋼材 / 応力 / モニタリング / 鋼材腐食 / 温度変化 / PC鋼材緊張力 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、強磁性体である鋼材の変状を検出できる漏洩磁束法を発展させ、鋼材の帯磁状況の変化に着目したコンクリート構造物の中長期的なモニタリング手法の適用性を検討する。具体的には、コンクリート内部にある鉄筋やPC鋼材の破断、鉄筋腐食やPC鋼材の緊張力変化を精度良く検出するために、変状が生じる前に鋼材を磁化しておき、変状の発生に伴う磁束密度の変化を捉える手法を構築する。そこで、漏洩磁束法を橋梁に適用する場合において、鋼材を減磁させる要因として温度変化および車両通行に伴う載荷重を想定し、これらの影響を把握することで中長期的な磁気モニタリングによるコンクリート構造物の健全性評価の可能性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
コンクリート構造物中の鋼材の損傷(破断・腐食)を鋼材に付与した磁気のモニタリングにより検出する手法の確立を目標とするにあたり、コンクリート構造物の供用環境を想定した荷重による鋼材の作用応力がコンクリート中の鋼材に付与された磁化の変化に与える影響の検討を行った。具体的には、鋼材を埋設した100×100×400mmのコンクリート供試体の表面に永久磁石を近付けることで内部の鋼材を磁化させた後,三等分点載荷装置を設置した万能試験機で所定の荷重を繰り返し載荷しながらコンクリート表面の磁束密度の変化を確認した。その結果、載荷荷重が大きいほど磁化の減少が大きくなるが、載荷の回数が増えても荷重の大きさが変わらなければそれ以上の磁化の減少は生じず一定の磁化が保持されることを確認した。 また、プレストレスコンクリート(PC)部材への磁気モニタリング手法の適用性を検討するにあたり、PC鋼材に導入されたプレストレスが磁化の経時変化に与える影響を確認した。具体的には、貫通孔を設けた150×150×400mmのコンクリート供試体にPC鋼棒を通し、PC鋼棒に緊張力を導入した状態で定着させた。その後、永久磁石でPC鋼棒を着磁し、PC鋼棒に張り付けたひずみゲージでひずみの値と磁束密度の経時変化を確認した。その結果、緊張力の導入から120日程度までコンクリートのクリープとPC鋼棒のリラクセーションが原因と考えられるプレストレスの低下が生じ、このプレストレスの低下に伴って磁化が減少することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、コンクリート中の鋼材に付与された磁化が車両通行を想定した荷重の作用により変化する様子を計測できている。また、PC鋼材に付与されたプレストレスが磁化の保持に与える影響の検討も開始した。この計測は次年度も続けていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に実施した温度変化による鋼材に付与された磁気の変化の検討と、今年度に実施した外力による鋼材に付与された磁気の変化の検討を併せて、中長期の磁気モニタリングにおける磁気の変化の定量化に関する検討を進める。更に、鉄筋やPC鋼材など各種鋼材における腐食に伴う磁化の変化量の確認を行い、コンクリート中鋼材損傷の磁気モニタリング手法の適用に関する条件を提示する。
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