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近赤外線分析による鋼橋表面付着物の可視化に基づく腐食形態の判定法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K14309
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分22010:土木材料、施工および建設マネジメント関連
研究機関山口大学

研究代表者

蓮池 里菜  山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教(テニュアトラック) (80886218)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
キーワード鋼材腐食 / 近赤外線分析 / 可視化 / 付着物 / 元素マッピング
研究開始時の研究の概要

鋼橋の腐食形態のひとつであるマクロセル腐食は,腐食減肉箇所が固定されて局部的に著しく進行する.この局部的な鋼材の著しい減少は,鋼橋の耐力の低下に直結することから,その抑制が重要となる.腐食の発生には,水と酸素の継続的供給が必要不可欠であるが,鋼材表面へ塩化物および硫黄酸化物が付着し,局部的に水と酸素が継続的に供給されてマクロセル腐食に至ることから,鋼橋表面付着物を可視化できれば腐食形態の判定が可能になると推察される.そこで本研究では,近赤外線分析による鋼材表面付着物の可視化に基づき,付着物に起因する鋼橋の腐食形態の判定を目指す.

研究実績の概要

本研究では,近赤外線分析による鋼材表面付着物分布の可視化に基づき,付着物に起因する鋼橋の腐食形態の判定を目指す.本年度は,表面付着塩化物に着目し,ハイパースペクトルカメラ(HSC)を用いた近赤外線分析により,さび層表面塩化物分布の可視化に適した波長帯の検討を深めると共に,表面のさび組成分析を実施し,腐食形態判定に向けた基礎データの収集を試みた.
本検討および検証では,昨年度確立した,試験片表面のHS強度を波長毎にマッピングした画像(HSI)と,同一試験片・同一箇所のSEM/EDSによるCl元素マッピング結果の比較による,HSCによるCl元素分布検出率の算出手法を適用した.試験片は,0.1%,3%と濃度の異なるNaCl水溶液を供給した腐食促進試験により作成した.
HSIの対象として,可視光領域のRGB三波長と,近赤外線域である945nmから988nm間の15波長を選定した.9体の試験片に対し,Cl付着の閾値を反射強度を0.3以上,0.35以上,0.45以上の3パターンとし,HSIと元素マッピング結果のピクセル毎の混同行列よりF値を算出することで検証した.その結果,3%濃度NaCl水溶液供給試験片の,HS波長973nm,反射強度閾値0.3以上においてF値が最も高く,約60~81%となった.精度が8割程度に留まった要因として,正解率と適合率が再現率に比べて低いことが挙げられる.これは,HSIの解像度が元素マッピングと比較し粗いことで,HSIによるCl付着判定範囲内に,元素マッピングにおける未付着範囲が狭く点在し,検出が困難となったためと考えられる.本検討をより深めることで,次年度はCl検出に適したHSCによる撮影範囲および解像度の提案を目指す.また,本年度分析した表面のさび組成と,HS反射強度の大小を比較検討した結果,関係は見られず,更なる検討を進める.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画時には,実橋梁および大気暴露試験片の分析を初期に予定していたが,付着物のコントロールが可能な腐食促進試験片の分析による,分析手法の確立を優先したため,実験順序が変更となっている.なお,大気暴露試験片については昨年度に既に設置済みであり,本年度も暴露試験を実施済みのため,所定さび厚に到達次第,順次分析を実施する.

今後の研究の推進方策

本年度の研究成果より,昨年度に確立した,試験片の近赤外線分析による表面付着塩化物分布の可視化手法の精度向上が図られ,実橋梁への適用に向けたHSCによる撮影範囲,すなわち解像度の設定に向けた検討を推進する.また,表面に付着,もしくは含有している塩化物量の違いがHS反射強度に与える影響を明確化するべく,本年度作成した試験片を用いて引き続き検討を進める.
なお,本年度作成した試験片は,試験片全体をSEM/EDS分析に供することが出来るよう,小型試験片としていたため,HSIとの解像度の差が大きくなった.そのため,同サイズの試験片を複数作成し,組み合わせた大きな試験面として撮影することで,SEM/EDS分析が可能で,かつ,HSIとの解像度の差を埋めることが出来ると考え,試験片の作成を進めている.加えて,実環境で付着する元素の分布を検討するため,大気暴露試験を実施している.現時点では海浜地帯での暴露試験を継続しており,今後は暴露試験片を回収し,上述の近赤外線分析による表面付着塩化物分布の可視化手法の適用性を検討する.

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] 近赤外線分析によるさび層表面塩化物の検出2024

    • 著者名/発表者名
      長谷正基,植田凌太郎,蓮池里菜,麻生稔彦
    • 学会等名
      土木学会中国支部研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] さび層表面に付着した塩化物濃淡が近赤外線反射強度に与える影響2024

    • 著者名/発表者名
      植田凌太郎,長谷正基,蓮池里菜,麻生稔彦
    • 学会等名
      土木学会年次学術講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 鋼材に付着した塩化物の可視化に向けたハイパースペクトルイメージングの適用2023

    • 著者名/発表者名
      植田凌太郎,井上龍一,蓮池里菜,麻生稔彦
    • 学会等名
      土木学会中国支部研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書 2022 実施状況報告書
  • [学会発表] Application of Hyperspectral Imaging for Chlorides Visualization on Steel Surface2023

    • 著者名/発表者名
      Rina HASUIKE, Ryotaro UEDA, Ryuichi INOUE, Toshihiko ASO
    • 学会等名
      The 12th International Symposium on STEEL STRUCTURES (ISSS)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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