研究課題/領域番号 |
22K14320
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分22020:構造工学および地震工学関連
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研究機関 | 福井工業高等専門学校 |
研究代表者 |
芹川 由布子 福井工業高等専門学校, 環境都市工学科, 助教 (50871349)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 家屋傾斜 / 液状化対策 / 住宅傾斜 / 健康障害 |
研究開始時の研究の概要 |
東日本大震災では国内最大級の液状化被害が発生し戸建住宅の沈下や傾斜の被害は甚大であった.傾斜した家屋に住み続けていると,住人に健康障害が生じるということが報告されているが,どの程度の傾斜量でどのような健康障害を誘発しているかが不明確である. そこで本研究では,健康障害を要求性能の指標とした液状化対策工法の確立を目的とし以下の3段階で研究を遂行していく. (1) 傾斜が健康障害に及ぼす影響をもとに,液状化対策工法の要求性能を定義 (2) 模型振動実験による対策効果の評価(家屋模型の傾斜量および液状化程度の比較) (3) 解析プログラムを用いた社会実装のための実地盤を想定した効果の定量的な評価
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研究実績の概要 |
はじめに、2016年熊本地震および2018年北海道胆振東部地震の調査の際に得られたデータ(外壁・内壁・床傾斜量と健康障害の症状)をもとに、どの程度の傾斜量でどのような健康障害が発症するか、どの空間の傾斜が健康障害を引き起こす要因となっているかを明らかにする。それらの結果を指標化し,傾斜量に対する液状化対策の要求性能を設定し、液状化対策工法に反映させるための検討を行うことを目的としている。 初年度はこれまでの調査結果をもとに、傾斜空間における実験的検討を実施した。床を傾斜させた空間を作成し、重心動揺測定を用いた実験を行った。仰臥位・閉眼の状態で、傾斜空間滞在前後の重心動揺の軌跡の計測および、実験中の体調に関する問診を行った。この実験では、傾斜空間(床のみ傾斜を再現)に滞在していたことで、実験後の重心動揺の軌跡が大きくなる傾向がみられた。また、滞在中および滞在後の問診では、ふらつきや牽引感・立ち上がり後のめまいを感じたとの回答が得られた。 床の傾斜量の影響に加えて、視覚から感じとる傾斜量の検討も必要と考え、VRゴーグル(Meta Quest 2)を用いた実験を行なった。居住空間のモデルを作成し、傾斜した家屋内を再現した。床に傾斜量をつけること・視覚的に傾斜空間を再現することで、より実際の傾斜家屋に近い実験的検証が行えると考えている。 このような傾斜空間における実験の結果をもとに、傾斜が健康障害に及ぼす影響を明らかにしていく。「健康障害が生じる傾斜量」をもとに対策効果の目標値の決定を行い、定めた目標値を住宅に対する液状化対策工法の要求性能として、この性能を地震後も満たすような工法の考案を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まずは、家屋の傾斜が身体に及ぼす影響を明らかにするため、重心動揺測定を用いた実験を行った。予備実験として、傾斜空 間滞在前後(仰臥位)の重心動揺の軌跡の計測および体調に関する問診を行った。加えて、VRゴーグル(Meta Quest 2)を用いた実験を行なった。居住空間のモデルを作成し、傾斜した家屋内を再現した。床に傾斜量をつけること・視覚的に傾斜空間を再現することで、より実際の傾斜家屋に近い実験的検証を進めることができている。 このように、データ整理と並行し、予備実験および実験条件の検討を行えているためおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
これまで行なってきた傾斜空間における実験の結果をもとに、傾斜が健康障害に及ぼす影響を明らかにしていく。「健康障害が生じる傾斜量」をもとに対策効果の目標値の決定を行い、定めた目標値を住宅に対する液状化対策工法の要求性能として、この性能を地震後も満たすような工法の考案に繋げていくことを計画している。
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